英文法を生徒が説明する
ドラゴン桜2 PREP法紹介されていますね。
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ある人がある県のアクティブラーニングの 研修会に出席したそうです。おもいっきりまじめだったとのこと。苦笑。これからの方針や、やるべきことを伝える研修だったそうですが、だとしてもやり方はいろいろあります。
ブルームのタキソノミー
知識の伝達の先にはいろいろな活動が待っている。Bloomによると、さまざまな知的レベルの活動に分類できる。今は弟子のAndersonがその分類方法を見直しています。アクティブラーニングにおいては、さまざまなレベルの活動が期待されます。今授業で行っているのはいったいどのレベルの活動なのか指導者が知る事はとても重要です。
この考え方は2004年に文部科学省の海外派遣研修に行った際、ブリティッシュコロンビア大学で学んだことです。
レベル1 思い出す(最も低次の活動)
○以前覚えたことを記憶から引っ張り出す。
○見たこと、聞いたことを認識する。
○見たこと、聞いたことをリストにあげる。
レベル2 理解する(2番目に低次の活動)
○分類する
○比較する
○説明する
○要約する
○推測する
○解釈する
レベル3 習ったことを実際に応用する・あてはめてみる。
レベル4 分析する
○具体的なものを抽象化できる。
○原因と結果を考察できる。
○詳しい内容から概要を抜き出すことができる。
○1つにまとまっているものをばらばらな部分に分解できる。
○ばらばらなものを1つに構造化できる。
レベル5 正当化(主張)できたり、判断をくだす
○習ったことが本当にそうか批判的に見てみる
○仮説をたててみる
○実際にやってみる(実験して確かめる)
○判断を下してみる(主張する)
レベル6 新しいものを生みだす
○プロジェクトを自分で計画してみる
○しくみを設計することができる
○実際に作ってみる・考案してみる
これは母国語の分類方法ということはしっかり頭に置いておく必要があります。外国語の場合、すんなりこのままあてはめることは難しいでしょう。ただレベル4は大学入試の段落の要旨や、論理的な英文を書くライティングスキルと直結していますし、高い知的レベルの活動なのか、低次の知的活動レベルなのかを把握するには使えると思います。
新学期になって3年を担当しています。授業を開始して1週間で、異なる3人の先生方から、「生徒が授業が面白い、分かりやすいと言っていました。」と話しかけられました。素直にうれしい!でもうれしさも半分。だってここは最低限のレベルだもの。分かりやすい授業→できるようになる授業→自ら学びに向かっていく授業。ここを目指したいです。
「面白い・分かりやすいって一体何だろう」あらためて考えさせられました。
○既存の枠組みをゆらす発問(知的にチャレンジング)
○明確な理由をまじえた考え方や判断方法の提示(自力でできる)
○すぐ問題を出してできる体験をさせる。(できた!)
○実際にペアで練習させる(練習の確保)
○声の大きさや速さ、間のコントロール。
考え方にせよ、練習にせよ、Something specificなものを生徒が獲得できる。
このあたりかなあ。
授業がきっかけで、自分で文法書を読んだり英文を読んだり、VOA聞いたり、facebookで英文を書いてくれたりの方が本当は何倍もうれしいですね。教員は自分をほめられるより、生徒ができるようになった、素晴らしいと褒められるほうが何倍もうれしいんです。3年生がんばれ!!
英文法については説明しすぎると、練習の時間が取れない。ただ練習前にはなぜそうなるのか説明はしなければならない。今はデジタル動画で説明も流行だが、自分の生徒の環境を考え、紙で一部反転授業をやろうとしている。やりかたはこうだ。
B4用紙でプリント作る。
[ 表 →生徒にリソースを与える]
進行形の受け身
□ 作り方:まずは受け身を作って間にbeing 入れるだけ。
□ The bridge is (being ) built by the city.
その橋は現在、市によって建設されている。
[ 裏 →全く同じレイアウト。達成目標を示す]
進行形の受け身
□作り方:まずは( )入れるだけ。
□Th br ( ) by th ci .
その橋は現在、市によって建設されている。
メリット1
空欄を3分以内に埋めて全て言えれば達成と、生徒にとっては何をすべきかが達成目標が明確。
メリット2
困ったらひっくり返せば同じレイアウトで説明が載っているから分からない時もやることには困らない。
メリット3
教員はリソース+達成目標チェックリストが一度に作れる。
メリット4
教員なしでも、自ら学びに向かう手助けになる。
メリット5
浮いた時間で少しでも音読筆写や、パターンプラクティス、状況を考えた英借分、英作文などの練習にあてられる。
注意点。作る時は、本質を押さえながら、言葉をぎりぎりまで削がないといけない。どんなに正しい情報を伝えても、伝え方が下手な教員の話は生徒は聞かない。ただ、「なぜ」はなるべく伝えるようにしている。バラバラな知識と知識がつながっていくのは生徒にとっても面白いと思うからだ。
生徒の活動のさせ方にも工夫が必要です。Aということをさせるのに、ひたすらAをさせると、生徒は飽きます。変化のある繰り返しが必要になります。またこれは、「AをさせたければBをさせよ」という黄金律とも相性がいいのです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
小学生(私の息子)に対して、担任の先生は次のような課題を出しました。
「隣の人とじゃんけんして、グーで勝ったら7点。パーで勝ったら5点。チョキで勝ったら3点。
10回じゃんけんして、自分の得点を友だちと競おう。」
かなりうまい課題です。これを、「7+5+3+.....を計算しなさい」とやったら全く面白くありません。友だちと競い合うためには足し算をしなければなりません。これはおもしろい。「AをさせたければBをさせよ」というのは例えばこのようなことなのです。意図せず、結果的にはその行動をとらずにはいられなくなる。「ゴールをずらしてしまう。友人にゲームで勝つことをゴールにする。」ここが活動を楽しむポイントです。また、じゃんけんという誰にでも分かる活動ですから、迷う心配もありません。活動のゲーム化、ゲーミフィケーションとも言えます。
「変化のある繰り返し」は繰り返すというつまらない行動に変化を生み出し、あきさせずに繰り返し練習させる方法です。上の課題だと、まずじゃんけんの回数を4回、5回、6回とふやしていくことが考えられます。また、ペアになっている友人を変えてもいいでしょう。あるいは、勝ち点の数を大きなものに変更するのもありです。こうやっているうちに、あきずに繰り返すことが結果的にできています。あるじゃんけんで勝ったら、得点を3倍にできるとすればかけ算の練習にもつながります。
では英語だと、「AをさせたければBをさせよ」はどこで使えるでしょうか。英語を話させたいのなら、ワードカウンターがオススメです。西先生という方が考案しました。発話した語数を数えるだけのシンプルな活動からスタートします。 I went to Canada last year. なら6語と数えます。Last year I went to Canada to study English. なら9語です。お互い、1〜200ぐらいの数が書かれた用紙を持ち、何語話したか記録していきます。今日は何語話せた。次の日は20語増えた。そのような数の増え具合で、知らないうちに発話数や流ちょうさを伸ばすことができます。流ちょうに話せるようになったら、話しの組立て方に気をつけさせることも可能です。
英文を楽しく深く読ませたいのなら、主張はどこか、理由はどこか、対比はどことどこであるか、言い換え部分はどこか、具体例の追加はどこか、どの段落はどのような働きをしているか、どの段落にどのようなタイトルを付けるべきか ペアやグループで話しをさせるのもありです。活動をしているうちに英文の内容は終わります。
「変化のある繰り返し」は、単語の練習でも使えます。最初の一巡は発音だけ。二巡目は発音に載せて、意味を生徒に答えさせる。三巡目は単語を順番に意味を言わせる。四巡目は単語をアトランダムに指して意味を言わせていく。五巡目は教師が意味を言って、生徒はそれを聞いて英語を言う。列を指定して言わせる。何秒で言えたか列で競い合う。というのも変化のある繰り返しです。少しずつ難易度を高める方法です。
音読や、パターンプラクティスも「変化のある繰り返し」が有効な部分です。すこしずつ焦点をかえて練習させます。音声のストレスに焦点をあてる音読。英語を読み→和訳させる。和訳を見て→英語に直させる。 He lives in Iwaki. なら、He li in Iw . と2語だけ残してそれをもとに英文で言わせる。H l i I . 1語残して言わせる。 彼住 in 磐城。と漢字→英語変換の練習で言わせる。バリエーションは豊富にありますね。気がついたら10回、20回音読していたというのがベストですね。この暗唱の作業を経ないと、KP法などでアウトプットしようと思ってもうまくいきません。覚えていないものはアウトプットできないからでうs。活動は空虚なものになってしまいます。
KP法。それは紙芝居プレゼンテーションのことです。紙芝居といっても、B4とかの用紙でOK。用紙には、絵や写真といったビジュアルエイドを入れておきます。
そのビジュアルエイドをもとに、英語で説明していくわけです。生徒はもちろん、英文を見ることはできません。「紙芝居」の裏のほうに、いくつか記憶を助けるキーワードを書いておいてもよいですが、それ以外は禁止。
これを5〜6人のグループワークにしてやってしまいます。KPをやるタイミングは教科書のあるレッスンが終わったあたり。最初の数回は教科書の内容をかいつまんで説明するということをしますが、慣れてきたら、環境系のレッスンを読んだあとは、やはり環境系について自分で選んだトピックでプレゼンをします。アクティブラーニングで必要になるのが、「自己選択」という部分。生徒には授業で習った表現を入れて説明してねと言っておきます。
評価は、グループ全員にしてもらいます。
1)声の大きさ 5 3 1
2)発音のよさ 5 3 1
3)ビジュアルエイドがわかりやすいか 5 3 1
4)難しい表現をやさしく言い換えているか 5 3 1
5)面白さ 5 3 1
6)他の人の質問に適切に答えられたか 5 3 1
合計点数の高い2名を各グループで選出。
今度はクラス全員の前で発表してもらいます。
同じように全員で評価します。
またベスト1〜2位を決め、今度はクラス対抗戦になります。
評価のポイントを先に示しておいたり、教師がモデルを示すことで
達成して欲しいラインをしっかり示します。
最初に教師がわざと悪い見本を見せ、生徒に評価してもらったり、
よい見本を見せて評価してもらったりすると、何が評価されるか
生徒にはしっかり伝わると思います。
これは規準ですね。英語ではルーブリックとよばれています。
ぜひ、教科書の内容理解や音読が終わったら、KP法。おすすめします。
プロジェクターもICTもなーんにも要りません。紙だけです。
*ただし、クラス単位、学年単位でプレゼンする場合、A3の紙でも小さくて見えないです。
その場合は、iphoneやipadのカメラで用紙を撮影し、それをプロジェクターに映してしまいます。影などを消して、用紙がきれいに見えるようにするには、Mini Scanner などのアプリから撮影するのがおすすめになります。
少し先の、未来の話しをします。
4技能が大事だと言われていますが、英語を単なるコミュニケーションのツールとみなしているのであれば、今後のAIやネットの高速化技術のおかげで英語を学ぶ必要がどんどん減ってくる可能性があります。翻訳してくれるからです。
今後はむしろどれくらい面白いことを話せるか、論理的に話せるか、書けるかが勝負になります。アクティブラーナーを生み出すことも大事です。言語を使いこなすこと自体は重要ではなくなる可能性があるのです。
本を読んだり、古典を学んで教養を深めたりすることが大事です。国際理解の中には言語理解も含まれますが、日本語を捨てて英語にすればよいという話しでは ありません。お互い、文化的に深いものを理解できる部分と理解できない部分のせめぎあいの中でぎりぎりのところでできるだけわかりやすく意思疎通を図るの が国際化ということではないでしょうか。日本文化を知らない、教養のないものは、話すコンテンツが乏しい人、そしてわかりやすく伝えられない人は、AI- 翻訳世界では相手にされません。そういう世界が間近に迫っています。
自分が書く英文がやさしいのか難しいのかという判断に、Readabilityを計測できるサイトを使っています。その中できるだけ 音節が短い単語を使うようになっています。この方が音読したときにリズムがよいものになります。自分で音読してみて気持ちいい場合にうまく英文が書けてい る場合が多いです。気持ちよいということの中には当然次にはこういう内容がくるだろうという読者の予測にあった内容・表現をもってくるということも含まれていま す。抽象ー具体の流れや文の結束性ですね。English JournalやEnglish Expressなどで気に入った記事や、子ども向けの本の一節をひたすら覚えることが役に立ちます。
今朝の読売新聞。「討論といったアクティブラーニングを導入する。」「一斉授業型をではない、アクティブラーニングを導入する」
アクティブラーニングはあくまで、生徒の頭の状態。討論といった特定の教師側の指導形態のみ指すのではないと思います。また、簡単に討論を導入すればという話ではありません。現に文部科学省でも、「深 い学び」というキーワードを言い始めています。表面的な話し合いで、知識も深まらず、特定の能力も育っていない、そういう部分を危惧してのことと思いま す。英語でプレゼン、交渉する能力を育てたいのであれば、その下位技能は何かをあきらかにして、トレーニング方法や、うまくいくコツをあきらかにしていく 必要があります。(さらに脳がアクティブな状態であるのにも何段階かあるのではないか。)生徒の頭をアクティブにするためのしかけ「発問、タスク、ルーブリック、グループワークのポイント」を本気で考えて行く必要があります。ア クティブラーニングは魔法の玉手箱ではありません。うまくいくようしかけを考えないと、空虚な討論の形式をとった「発表会」で終わります。「特定の生徒のみ参加している、他の生徒は受け身。などとなりかねません。」
この記事を見ている各教育委員会や指導主事の方、まちがっても、研究授業において「討論が入っていない。アクティブラーニングが入っていないではないか。」などと短絡的に言わないでいただきたいと心からお願いします。
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