関係詞の非制限用法の先行詞は最初から1つしかないか?
学校では、最初から1つしかないもの(カンマをつけるとして、 My father ,who is a high school teacher, is in his forties. / The Tokyo Skytree ,which is 634 meters high, was built in 2012. などと例文を出して教えています。これは、逆に言えば誤解を招くかもしれません。先行詞は別に一つに限定されるものばかりではないのです。
意識の上に他の(同類の)ものもあって比べながら、それだけぎゅっと絞り込んで述べているとき=カンマなし=限定用法となります。僕は絞り込み用法と呼んでいます。意識上、他のものはなく、それだけ述べている場合には、カンマつきの関係詞=非制限用法になります。この場合は、事実を付け加えるだけになるわけです。(ただし、カンマ以下が文末に来ている場合は、そこが文末焦点となり、言いたいことになります。)
マークピーターセン先生の、日本人の英語」を読み返していますが、関係詞の制限用法と非制限用法の部分は何度見直しても役立ちます。
①The Nobel Prize which I received last year was a great honor. ならば、カンマを使っていません。制限用法ってやつです。この文の本当の意味は、(私が受賞したノーベル賞は昨年以外のものもあり、それ(ら)は光栄ではなかった。しかし「今年受賞したノーベル賞は光栄だった。」という意味にとられます。これは大変失礼な文であり、物議を醸すことになるでしょう。文法的には正しい文です。たくさんある他のものからそれだけぎゅっと絞り込んで述べているのが、制限用法の意味なのですから。しかし、社会的、コミュニケーション的にはまずい文になるのです。
上記の文①は、正しくは、カンマを使って述べる必要があります。
②The Nobel Prize, which I received last year, was a great honor.
例のノーベル賞、昨年私が受賞したものですが、これはとても光栄でした。
他のノーベル賞は意識してません。今回のノーベル賞の話だけをしています。
つまり、カンマなしの制限用法は、「他のものも意識した上で、これだけと分けて使うとき」
カンマありの制限用法は、「他のものを意識しておらず、それだけ意識にあるとき」に使います。
学校の教え方は、父や、東京スカイツリーなど1つしかないものなので、基本的に例文を作りやすいのは理解できます。その上で、指導者はもう一段階上の認識をしているべきと考えます。つまり、カンマをつけるかつけないかは人間の意識の問題ということです。
2020年にアメリカで作られたそのワクチンは有効だった。を英語に直す時には、
他の年や他の国で作られた他のワクチンを意識していうのなら、
③The vaccines which were developed in the U.S. in 2020 are highly effective. でOk。
そのワクチンだけ意識している場合、
④The vaccines , which were developed in the U.S. in 2020, are highly effective. となります。
関係代名詞の非制限用法についての考察 2011年に非制限用法について考察したものです。
参考までに。
http://blue-enzo.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/0312--110129-7f.html
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