2012年7月28日 (土)

0436- 120728 感想「パラグラフ・ライティング指導入門について」

can-do statementsと英語指導について他校の先生方に8月8日話すことになっているのだが、あらためて、エッセイライティングの指導について勉強し直している。おそらく、SpeakingやWritingについて触れていくことになると思うが、Writingにせよ、Speakingにせよ、その下位技能、下位のcan-do リストはかなりかぶる部分があると思うのだ。今読んでいる本は2冊。大井恭子先生、田畑光義先生、松井孝志先生の「パラグラフ・ライティング指導入門」と河野弥彦先生の「英語ライティングの成功法則」である。

感想としては2冊とも買ってものすごく得をした。なんで今まで買わなかったのか。買わない英語教師は絶対に損をしているとまで言える。(この4人のうち、松井先生にだけはお会いしている。と言ってもこちらは受講生、松井先生は講師の立場だから私のことは知るよしもないのだが。)

Speakingやエッセイライティングの分野は結構先生方が敬遠している分野である。ライティングは入試に出ているので、指導されている先生方も多いと思うが、ひょっとして学校専売の教科書の模範解答に頼っているだけのパターンも多いのではないかと思う。あるいはTopic SentenceとSupport Sentenceの書き方は指導はしても、どういうTopic Sentenceは良いのか、どういう展開パターンが良いのか、どのように一貫性や結束性を確保した文を書かせるか系統だった指導をして、それをSpeaking指導まで役立てているかたは少ないのではないだろうか。

エッセイライティングの指導は実は、読解問題を解くのにもものすごく役に立つ。つっこんだTopic Sentenceの指導はセンター入試の第6問の読解問題に、結束性の指導は特に東大入試の読解問題にも役に立つだろう。

Speakingも、西巌浩先生のワードカウンターというワザがあるが、やはり、エッセイライティングの指導を通し、fluencyだけでなく、Accuracyも高めておきたいところだ。Argumentationタイプの英文が書ければ、Speakingには大きなサポートとなる。東大あたりは、2013年あたりからのGLPの導入し、300人を海外派遣したり、TOEFL100点以上を目指しているとのことだから、そう遠くない将来、本気で入試にSpeakingを入れたりしてくるのではないか。

するとかなり日本の英語教育がかわる可能性が出てくる。大変だけれどもおもしろい。

さてまだ全部読み切ってないのだが、面白かった点をここで述べておこう。

「パラグラフ・ライティング指導入門」のほうは、「つなぎ言葉を前もって提示することで、逆に生徒の思考が深まる」という点である。I think.... because..... For example Alsoなどを提示することで逆に生徒は何をどの順に書けばよいかの大ヒントをもらったことになる。これはつまり「型」の指導である。生徒に好きなように書けと言っても書けないのは、ひとつにはそれを英語で表現できないからであるが、あと2つ大きな問題は論旨の展開パターンの知識がないことと、一貫性、結束性についてあまりよく知らないという問題である。型が提示されれば、論旨の展開パターンは分かるかもしれない。ただ、型が分かっていても、書かれた英文に一貫性、結束性の点で問題が生じることも少なくない。ミスのパターン化をし、望ましくない展開と、望ましい展開、両方示してあげる必要がありそうだ。

Can-doのグレード設定においては、最初のグレードの方では 主張と理由といったシンプルな型とシンプルなサポートセンテンスで書けるかがポイントになる。それから徐々に型のバリエーションを増やすことと、サポートの仕方のバリエーションを増やすことで Can-doのグレードがあがることになるだろう。この点、この本は理論的な紹介だけでなく、かなり多くのスペースを英文サンプルとタスクの紹介に割いてくれているので極めてわかりやすい。

「英語ライティングの成功法則」の方は、より実践的である。演習問題が豊富に用意されている。どのようなタスクを生徒に課せばいいのか、どのようなテスト問題を作ればいいのか、こちらも一目瞭然である。と思ったら、参考文献に「パラグラフ・ライティング指導入門」が載っていた。(^_^)

欲を言えば、 この4人で読解における Reading Power のような存在の、中高生向けのエッセイライティングの演習本を出してもらえればなあと思う。すごく良い本ができると思う。


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2009年5月 1日 (金)

0196 -090501 言い換え部分、対比を未知語類推に用いる

 前回のエントリーでは、文脈をつくるカギが、1)同格、言い換え 2)対比逆接 3)原因結果にあると述べた。今回は特に1)の同格、言い換えを 2)対比逆接を取り上げ、それを未知語類推に実際に用いてみたい。

  同格部分、言い換えを見破るポイント

  1)カンマ  ------ , --------  は同格
  2)ダッシュ  __________ - ____________  は同格
  3)コロン  __________ :  ____________  は同格
  4)SVCは究極の同格  S=C
  5)前置詞asはイコール regard A = B
    6)抽象的な話が終わり、具体例が述べられていたら2文は同格
    7)andでつながれた語句と語句は基本的には同じ意味

  +対比、逆接の前後では意味が逆になることが多い。

では上の1)〜8)のポイントを用い、実際に問題を解いてみよう。

     下線(A)(B)(C)(D)の意味を類推せよ

  Daydreaming(空想) once was considered a waste of time.  Psychologists regarded it as evidence of (A)maladjustment, an attempt to escape from reality. They warned habit of daydreaming could reduce a person’s effectiveness in real life and (B) hamper his ability to come with problems.  Even the more indulgent psychologists considered daydreaming a childish habit which caused students to get bad grades and adults to fail at their jobs.

   Recent research on daydreaming, however, indicates that it is an (C)intrinsic part of daily life. Daydreaming, it has been discovered, is an effective means of relaxation. But the beneficial effects of daydreaming go beyond that.  Experiments conducted by Dr. Joan T. Freyberg, a New York City psychotherapist, showed that daydreaming significantly helps intellectual growth, powers of concentration, and the ability to communicate with others. Dr. Freyberg also discovered that her patients who easily engaged in fantasy-making usually responded more quickly to treatment. 

 

  An electronics executive makes it a habit to daydream a few minutes everyday. He says that it has added considerably to his mental energy. He reports that after a brief respite of daydreaming he feels more vigorous and (D)zestful, and that he is better able to deal with sudden pressures and crises.

考えかた

 

(A)は、 カンマ以降が具体的な言い換え部分。「現実から逃げだそうとする試み
   英語ではまず抽象的なことを述べ、次にわかりやすく述べることが多い。

(B)は、andで、他動詞hamperとreduceがつながっている。
   andでつながれているものは基本的に意味は同じ。
   よって、hamper his ability to come with problems.で
   「様々な問題に対処する能力を減ずる、削いでしまう

(C)1パラ第一文と2パラ第一文がhoweverで対比になっている。
  1パラは第一文が最も抽象的で、その後は単にその文を具体的に言い換えてるだけ。
  よって対比は1パラ第一文と、2パラ第一文で起こっている。

  1パラ第一文で daydream = waste of timeとあるのに対して、
  2パラ第一文で daydream = intrinsic part of daily lifeとあるので、
     intrinsicは、waste「ムダ」の反対の意味となり、
  「重要な、なくてはならない」の意味となる。

(D)zestfulとvigorusはandでつながれているのでほぼ同じ意味になる。しかし、vigorusの意味がわからないとどうにもならない。では、どうするか。視野を前後の文まで広げてみよう。英文は1文だけぽつんと存在するのではなく、(抽象的なこと)を言ったら、それを筆者が納得するまで(具体的なこと)を述べて、説得力を増そうというパターンが極めて多い。つまり、ある部分がわからなくとも、前後で「抽象→具体の言い換え部分」が必ずある。それを探せば良い。

He reports that after a brief respite of daydreaming he feels more vigorous and (D)zestful, の直前の文がひょっとして言い換え部分ではないかと推理してみよう。

直前の文He says that it has added considerably to his mental energy.は
彼は空想をするとすごく精神的活力が得られる」と述べている。 

その直後に、He reports that <after a brief respite of daydreaming> / he feels more vigrous and zestful.  とあるから、これは「精神的活力を得られる」ということの具体例では?と見抜き、少し空想をした後でvigorousでzestfulになる=「精神的活力が得られる元気になることだな」類推できる。 そしてその結果問題や重圧によりよく対処できるようになるのである。(and that he is better able to deal with sudden pressures and crises.)

まとめると

最後の「視野を広げて前後の文の同格部分・言い換え部分を探す」というテクニックは極めて重要である。これは現代文の読み方にも通じるものがある。

このような読み方は実は語い力と英文解釈力に支えられている。この2つがおざなりであれば、言い換えに気付くというレベルまではいけない。しっかり基本を押さえ、その上でマスターさせたい読解技術である。

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2009年4月29日 (水)

0195 -090429 文脈をつくるものは何か?

 試験対策でよく言われる、「文脈を利用せよ」という文言がある。確かに試験でも文脈を問う問題が出る。しかし文脈とはいったいなんだろうか。受験生に読み取らせようとしている文脈にはどのようなものがあるのか、その読解力を試すのにどういった設問がつけれられるのか、またその解法をみていきましょう。

 まず私なりの文脈の定義を述べたいと思います。

①同じ事を異なる表現で言い換えた部分 
②対比や逆接の部分 
③原因に対する結果の部分 
      

—同じ事の言い換え部分—
例えば次の文をみてみよう。
「義男は頭がいい。彼は東大の問題もすらすら解く。」

この2つの文の関係は「同じ事を言い換えているだけ」の関係だ。ただし、まったく同じではなく、第2文は抽象度を下げて具体的に述べている。そして設問を作るとしたら次のようになる。

(  )内に入るふさわしい語句を選んで書きなさい。
「義男は頭がよい。東大の問題を(     )
 A) すらすら解く  B)全く解けない

 設問は、=の関係ができている所に作られている。2つの文が結局イコールの関係にあると気づければ答えは当然Aになるだろう。英文は「抽象度を変えて同じ事をくり返す」。主張はどうしても抽象的になりがちだ。それを「具体例」をくり返し述べることで説得力を増そうとしているのだ。大事なのは、抽象度は違えど、結局どの文も「同じことを述べている」ことに気づけるかどうかだ。

 例 (抽象)     義男は頭がよい。
   (具体)     東大の問題をすらすら解く。
   (さらに具体) 数学は特に得意で東大の問題でも40分で解き終わる。

—対比や逆接の部分—
 次に対比や逆接も文脈を作る。片方が分かれば、簡単にもう片方の主張も理解できる。
 よって、対比逆接関係がある部分にも設問は設定されやすい。答えが明確に導き出せるからだ。

 

「義男は歌がうまいが、武雄は(   )」
 A) 歌がうまい   B)音痴だ

  また、対比や逆接のディスコースマーカーをはさんで前と後の文では、「後の文」の方が強調される。したがってその後の展開も、後の文について抽象度を落としながら、具体化、具体例、理由などが述べられていく。

例 義男は歌がうまいが、(強調)武雄は音痴だ。
                

前に英文では「同じ内容のことを抽象度を落としながらくり返し述べる」性質があると述べた。ところが、「in addition」などの「列挙のディスコースマーカー」が登場したとたんに、英文は同じ内容をくり返すのを止め、全く新しいデータ・具体例を出し始めるのだ。このことは非常に重要であると思う。これを知らないと、下の例では、具体1と具体2が全く別の並列関係だと見抜けなくなるからだ。(具体1)と(さらに具体1)は結局同じ事を言っているのにすぎない。そこに新データが出てきますよ!という列挙のディスコースマーカー in additionが登場する。カラオケのエピソードはそこで打ち止めにして、(具体2)「音楽の授業が嫌い」の話を始めている。

例 義男は歌がうまいが、(抽象)武雄は音痴だ。
                (具体1)カラオケに行っても武雄は絶対歌わない。
                  (さらに具体1)先日は4時間いて1曲も歌わなかった。 

                                          in addition

                 (具体2)音楽の授業は大嫌いだ。
                  (さらに具体2)皆彼の歌を笑うからだ。         

—原因と結果—
 もうひとつ文脈をつくるのは、原因と結果である。

「義男が洋子とつきあいはじめたので、佳子は(    )」
 A) インターネットをした B)ショックを受けた

以上、この3つが「文脈」の正体、つまり文のcoherencyとも言われるものではないだろうか。

そしてこの3つで、下線部説明問題、未知語類推をはじめ多くの問題に対処できるのだ。

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