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2024年8月18日 (日)

フィンランド教育の失敗から学ぶこと


フィンランド方式がもてはやされたのは2000年ぐらいだった。生徒がじぶんでカリキュラムを決めたりする生徒主導型学習、宿題は出さない。学習時間も少なくなった。これでPISAの結果が出たことに世界は衝撃を受けた。


ところが最近になってこれは、旧来の教師主導の教育の成果であったのではないかとフィンランドの大学で研究が出され始めた。2000年ごろにPISAの試験を受けた学生が学校に入ったのは1992年。このあたりで確かに当時のフィンランド方式も導入された。しかし、新しいやり方に急に切り替わったわけではなく旧来のやり方も残っていた。教師主導のやり方がしばらく残っていたわけだ。確かに新方式に教育制度は変わったが、2000年ごろのPISAの結果は旧来の指導方式の影響下にあったためと現在では分析されている。


ただ流石に導入から10年以上が経つと、旧来の教師主導のやり方をしていた教員も退職していく。新方式がゆっくり学校現場でデフォルトとして浸透したまさにそこからフィンランドの読解力、数学力、などが急激に下降し、坂道を転げ落ちるように悪化の一途をたどるのである。

ある研究によると、学力下位の層については教師主導の方式で指導した方が、結果が良好にでた。逆に2000年ごろのフィンランド方式で指導すると、上位層と下位層で、学力差がめちゃくちゃ広がった。


これは全ての子供が、早く🏫を終わったから、興味ある関心を持って、自然を観察したり、楽器を弾いたり、スポーツするわけではなかったからだ。自律した学習者なら自ら疑問と好奇心を持って学習するが、その条件を満たさないと、教師主導の時より悪化する。

様々な研究では、生徒主導型は大人は効果が認められたが、子供には効果が少ないとあるのは欲望と闘いながら、好奇心が勝ち、学習方法を自ら選択し、計画的に学べる子供がまれであるからだ。こどもには無限の可能性はあるが、自律した生徒をそだてる条件が、家庭、学校、そして本人のなかにととのわないままはじめると、かえって悪影響があるということなのだろう。


学力は様々な要因で左右される。その教え方をしたから伸びたのか、そもそもそういう学力層の子供や、高い教育程度、富裕な層の親が子供をその学校に行かせただけなのかは分かりにくい。どちらもあるだろう。あるいはフィンランド方式が正解かもしれないが、そのために必要な条件を満たす、生徒を指導しきれる力量がある教員が少ないのかもしれない。


私のような凡人教師は自律した生徒を育てたいなら、教える技術をまずはとことん磨く。そして現状が比較的他国より良好な結果であれば、小さく改善を積み重ねていくしかない。


よく日本ではスティーブ・ジョブズやGAFAは育たないといわれ、創造性のない教育のせいだと言われますが、・ジョブズの憧れた経営者はSONYの方でしたし、旧来の教育を受けただけだったはずの日本人は多くのものを生み出して来ました。問題は日本人の創造性を活かせなかった、努力しない経営者にあるのではと思います。


またアメリカの自由競争を促す姿勢は多くの移民を東アジアからも受け入れてきました。日本と同じような学力観をもつ国々です。学力が高いため、アメリカ社会のなかでも所得が高いグループに属しています。また、アメリカのノーベル賞の40パーセントはインド、中国などアジア系研究者がとっています。たぶんですけど、自律し、学力がもともと高い生徒にはアメリカとか、フィンランド方式があっているかもしれません。ジャマがないぶんのびのびできます。

https://youtu.be/O1y8BTmGvDA?si=IMcJkmdHWKuVrTmJ






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