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2024年7月28日 (日)

インプット洪水をどう起こすか。自然なコミュニケーションで足りるか。

結論:小学校、中学校で行う、自然なコミュニケーション設定のタスクの「インプット洪水」では全く足りないのではないと思います。

日本のような English as Foreign Language 環境下と、English as Second Languageが可能な環境下では全く条件が違います。後者では普通に生活するだけでもインプット洪水が起きやすいと思います。しかし、日本のような現状では、意図的な学習も含めていかないと全く足りていないと思います。インプット洪水を1日数時間(3時間程度)として、授業で設定するだけは足りていません。家庭での意図的学習がどうしても必要になります。この中には、(児童英語学習)塾での学習も含まれると思います。経済的に恵まれていて、英語学習塾に通えた生徒と、そうでない生徒でもインプット洪水で身に付く時間には大きな差が生まれることも予想されます。

つまり、自然な状況設定をして使わせることによって「なぜ、どんな状況でその言語形態を使うのか」はわかりやすくなります。一方で、身に付くまでに至らない生徒もいるのは、

1)「インプット量」が全く足りていないから 
2)大量の学習を経たとしてもできない場合、自分で「体制化=ルール化」できないから 
3)語彙や文法などの前提となる知識に穴があるから。
  a) 音素レベルでのつまづき
  b) 単語を覚えられない
  c) 文レベルで使いこなせない
4)ワーキングメモリーの容量が足らず、覚えても覚えてもこぼれ落ちていくから

のいずれかであると思います。

児童英語の世界では、フォニックスをベースにして、絵のカード、絵本などを使って、大量のインプットを意図的に行なっています。インプット理論やインプット洪水は正しいと思いますが、日本のような場合、時間あたりの学習量では意図的な大量インプットに負けるのではないかと思います。もっと言えば、幼児期に児童英語教室などで、大量のインプットを効率的に行えた子供ほど、学校の授業(つまりESL理論に則った方法論の指導)について行きやすいのではないかという疑問が出てきます。

インプット洪水が正しいとしても、「毎日」2ー3時間、児童や中学生が学習時間(それと意識してなくとも)捻り出すのは容易ではありません。やるべきことは英語以外にも大量にあるからです。

ここで言いたいのは、フォニックスをベースにし、フラッシュカードや絵を使って大量のインプット(音読を伴う)を行うことが重要ではということです。「自然な状況」を「作り出して」練習することは大事です。ですが、だからと言って、それで体制化(ルール化)ができるほど時間がかけられるわけではありません。かえって、グループワークなどでは隙間時間が生まれやすくなり、言語に触れられる時間が少なくなります。児童英語教室に行けない子供たち、経済格差を考えれば考えるほど、児童英語教室でやっているような絵やフラッシュカードを使った効率的な大量(音読)インプットを授業時に行う必要はあるでしょう。また、足りないにせよ、家庭学習で基礎訓練をし、長期記憶にする必要はあるでしょう。

 

第二言語習得における「インプット洪水」(input flood)や「インプット仮説」(input hypothesis)は、Stephen Krashenによって提唱された理論の一部であり、言語学習において豊富な理解可能なインプット(comprehensible input)が重要であるとしています。この理論では、言語が自然な形で提供され、学習者がそれを理解できる範囲で接することが理想とされています。

しかし、English as a Foreign Language (EFL) の文脈では、学習者が日常的に英語に触れる機会が限られているため、前提条件が異なります。以下に、EFL環境におけるインプット洪水理論の適用について考察します。

### インプット洪水の理論
- **インプット洪水(Input Flood)**:大量の言語インプットを提供することで、自然に言語習得が促進されるという考え方。
- **インプット仮説(Input Hypothesis)**:学習者は自分の現在の能力より少し上のレベルの言語インプット(i+1)を理解することで言語を習得する。

### インプット洪水の時間と期間
- **言語習得の時間**:インプット洪水が効果を発揮するためには、学習者が日常的に大量のインプットを受けることが必要です。具体的な時間についての研究は多岐にわたりますが、一般的には1日に数時間以上の言語接触が望ましいとされています。
- **言語習得の期間**:言語の習得には個人差がありますが、数ヶ月から数年単位での継続的なインプットが必要です。例えば、毎日2~3時間のインプットを1~2年間続けることで、実用的な言語能力が形成される可能性が高いです。

### 具体例と研究結果
- **研究結果**:さまざまな研究がインプットの量と質が言語習得に及ぼす影響を調査しています。例えば、Mason and Krashen (2004) は、多読(extensive reading)による大量のインプットが学習者の言語能力向上に効果的であると報告しています。

### EFL環境でのインプット洪水の実践
- **メディア利用**:インターネット、映画、テレビ、ラジオ、ポッドキャストなど、多様なメディアを活用して日常的に英語に触れる。
- **環境整備**:学習者が英語を使用する機会を増やすために、英語を話すコミュニティやオンラインの言語交換パートナーを見つける。

### まとめ
インプット洪水を効果的に活用するためには、学習者が継続的かつ大量に理解可能なインプットを受ける環境を整えることが重要です。EFL環境においては、特に意識的に英語に触れる機会を増やす努力が求められます。インプットの具体的な時間と期間については、学習者の目標や現在の言語レベルによって異なりますが、毎日数時間のインプットを数年間続けることが効果的であると考えられます。

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