長期記憶とワーキングメモリ
思考はどのように生じるか。
意識の外側にある長期記憶から引っ張り出した情報と、環境から得た情報を、ワーキングメモリ内で結合させて、考え、理解する。
長期記憶の中には1)単独の知識 2)ネットワーク化された知識 3)手続き知識がある。
1)単なる知識とは、シロクマが何色かとか、気温20度が結構あったかいとかの知識である。
2)give, show, tellはSVOOの構文をとるというのはネットワーク化された知識である。
3)どういう手順を取れば問題解決されるかという手続き的知識もある。14❌5 なら、
1)手続き 4と5をかける。
2)知識 20という答えを長期記憶から引き出す
3)手続き10と5をかける
4)知識 50という知識を長期記憶から引き出す
5)手続き 20と50を足す
6)知識 70という知識を長期記憶から引き出す。
という手続きになる。
「環境から得られた情報=目の前の本など」と、「長期記憶の中の知識および手続き知識」はワーキングメモリ内で融合される。
ワーキングメモリの容量が小さければ一連の作業をパッと行うことができなくなる。
したがって(問題を解く)には以下の4つが必要となる。
1)長期記憶内の知識(個別知識+ネットワーク知識)
2)長期記憶内の問題に対処するための手続き的知識
3)環境からの知識
4)ワーキングメモリの容量
スローラーナーがスローラーナーである理由は、長期記憶の形成不足とワーキングメモリ不足にある場合が多い。
1)対象とする教科についての、長期記憶の内の(個別知識+ネットワーク知識)が小さい。
2)次に、長期記憶内の手続的知識が少ない。
3)さらにはワーキングメモリの容量不足。
ネットワーク知識について述べると、
発音なら ouをアウと発音し、about, south, foundと結びつけていることである。
語彙なら lion, tiger, elephant, dog, catをanimal で結びつけているのもネットワーク知識と言える。
語彙なら pre-が前だから、predict 前もって話す=予測する prepare=前もって並べる=準備する
文法なら Ving ....が「すること」「している」「してしながら」を意味する などである。
手続的知識なら、
I live in Iwaki. なら
知識:文頭のI+liveで主語と動詞だろう。私は住んでいるだろう。
手続:前置詞の前で、一度切ろう。
知識:前置詞 in+地名だから場所を指すだろう、
手続:私が住んでいるだから(どこに?)とツッコミを入れよう。
知識:in Iwakiは「いわきに」になり「いわきの」にはならないだろう。
しかし普通はこれらを全て意識しながら読んでいる人はまずいない。
何度も体験し、慣れが生じた構文については、ある程度無意識のうちに処理されるものだからだ。
英文解釈の学習は、実は、つまづきやすい「読解上の手続き知識」を「意識化」するもので必要なことだ。一方で読解について無意識で手続き知識を学ばせる方法もある。それが多読である。大量に英語の子供向けの本を読むと、それほど意識せず、手続き的知識がインストールされることになる。英語が得意な人は大量のインプットを通して「無意識でも分かる、できる領域が広い」人だと思う。それはそうなのだが、誰しもがそこそこの教材で到達できるのは「意識して読解→無意識に言えるわかるための音読」かと思う。
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