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2011年10月25日 (火)

0371 比較の指導の問題点2点

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一点目は、形容詞の種類を指導者側でわかって指導しているかという点.

形容詞には尺度形容詞と、評価形容詞の2つがある。
尺度形容詞は、big / small ,  old/ young,   tall / small,   high / low,  deep / shallow , long / short ,  difficult/easy , fast / slow などの対になる形容詞が多い。

尺度形容詞は実は「相対的」。 Kate is as tall as Yoko. と言った場合、Yokoの背が低ければ、Kateも背が低いことになるし、Yokoの背が大きければ、Kateの背も大きいことになる。相手によってかわるのが「相対的」ということ。

注意:対になっている形容詞でも、尺度形容詞的なものと絶対的な評価形容詞的なものがある。good は相対的、badは絶対的。kindは相対的でcruelは絶対的。hotとcoldは共に絶対的。 尺度形容詞のペアの最初のほうを (old / youngのうちold)を無標(old)、後者(young)を有標という。通常、Howをつかって述べる疑問文は有標の形容詞だけ使われる。 How old is he?   無標というのは「標準に使われるもの」と考えればよい。How young is he ?というのはよほど特殊な場合のみわざわざ使われる。そして「若さを強調する」。こういうのを有標という。無標の尺度形容詞が比較構文で使われると、old, tall, long, big はそれぞれ「年を取った、背が高い、長い, 大きい」というプラスの意味をともなった意味にはならない。だから相対的という

一方評価形容詞というものがあります。 beautiful , ugly, expensive, cheap, intelligent, foolish, serious, valuable, などがそれです。

評価形容詞は「絶対的」。Kate is as beautiful as Yoko.  Takao is as intelligent as Yoko. と言えば、 Yoko is beautiful.  Yoko is intelligent.というのが前提になります。尺度形容詞とは違い、「Kateの容姿はYokoのレベル並みに低い」とか、「Takaoの知的レベルはYokoのレベル並みに低い」といった意味にはなりません。 これはKate is more beautiful than Yoko.も同様。Yokoは美しいということを前提に、それより美しいという表現になります。

さて、訳の問題に移りましょう。評価形容詞の場合、「ケイトは洋子とおなじくらい美しい」でいいようですね。しかし一方、尺度形容詞の場合「ケイトは洋子と同じくらい背が高い」ではまずいこととなりそうです。これは「同じくらいの背丈だ」として指導する必要があるのではないでしょうか。さらに言えば、訳も「ケイトは同じくらい美しい /洋子と比べて」と基準が洋子にあることをしっかり訳出してあげたほうがいいと思います。

僕はこれまで、asとasではさまれた形容詞はもとの意味を失う(相対的になる)と教えていましたが、これは尺度形容詞に限ったことのようです。冷や汗。。。。

2つめの問題点。

thanや2つめのasのうしろには基準となるもの、人がくるわけですが、話者にとってこれは「自明のこと」なのです。ところが中学生にとってはこれがわからない。従って、尺度形容詞にしろ、評価形容詞にしろ、できれば、皆が知っている人や、有名人とかを基準に持ってきた方がいいわけです。Taro is as intelligent as Tom.という一文だけ示されても、Tomって誰?頭がいいの?となります。本来、2つめのasや、thanのうしろにくる基準は「自分にとって自明」のものでなくてはなりませんが、このような例文ばかり使っていると、まともな言語感覚を育てられないと思うのです。それより、 Taro is as intelligent as Einstein. とか、Taro is as intelligent as a chimp.とかのほうが基準としてはっきりします。Taro can swim as fast as Kitajima Kosuke. とかだったら例文としてはOKでしょう。それを足がかりにして徐々に自分の身の回りの人、ものに広げていけばいいのかなと思います。

尺度形容詞のas as表現や比較級は、図やグラフを使うことで、「相対的」ということを納得させられますね。距離の短い川を何本かあげておき、 as long asと教える。距離が非常に長い川も何本かあげておき、これも as long as...とやる。「相対的」ということを明示しなくとも教えていけます。

尺度形容詞や評価形容詞は僕だったら、中学生には誤解をおそれず、

数字で測れちゃう「計測形容詞」と「それ以外」と教えると思います。年齢、身長などは数字で明示できますが、美しさの度合いは数字にできませんからね。

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2011年10月 8日 (土)

0370 -0111008 文法教材を作る時のポイント

プリントを作る時、私が気をつけていることがあります。それは、前にやった問題が次の問題のヒントになっているよう配列すること。また、つまり変化をつけたくり返しを目指しています。

たとえば1年4月は疑問文、否定文の作り方から入りますが、次のようにします。

理解: 一般動詞は walk + do,  walk + does,  walk + didのように2つに分解できる。

問題1 次の動詞を分解しなさい。
 1) walks   2) walk  3) go   4)  went   5) know   6) knew
  7) cooked  8) watches 

問題2 下線部を分解し、疑問文にしなさい。
 1) You know her name.
 2) Jim walks to the office everyday.
  3) Tom went to Kyoto last Sunday.
              .................

問題3 下線部を分解し、否定文にしなさい。
  1)  I know her address. etc.

問題4 まちがいを直しなさい。
 1) Is he brother know the fact?  etc.

「理解」と問題1は、問題2と問題3をやるためにどうしても必要な段階となります。問題4をやるためには、その前の段階を踏む必要がある。問1でやった動詞の数だけ、問2,3,4では問題を作っている。このように直前にある問題と次の問題は関連性がある方が、より効果は高いようです。なぜならある段階の問いでつまづいたのなら、前の段階の問いに戻ればよいからです。ある難しいタスクがあるとして、いきなりやらせることが難しいのであれば、タスクを分解し、トレーニングのためのステップを設定すべきであると考えます。

「変化のあるくり返し」ということがとても大切で、動詞のところは変えず、目的語や主語は変化させているのです。また、ポイントは同じなのに、視点を変化させて(疑問文、否定文、まちがい直し)くり返しトレーニングを行わせています。

このあとに、並べかえ問題、和文英訳問題を持ってきてもよいでしょう。逆に、この和文を英訳させたいと思うものがあれば、それをゴールとし、事前のタスクでそれができるようにしくんでおくことが必要となります。

例えば、最後にやらせたい問題にあわせ、使う単語、構文を前の段階の問いのどこかに伏線として、仕組んでおくほうが良いということになります。まじめにやればゴールが達成できるよろこびを味わえるわけです。

教材の配列順とともに気をつけたいのは生徒の知的レベルです。本人たちのレベルより明らかに易しめの教材を使い続けると、飽きてくる上に、予習しなくなり、授業をばかにするようになります。(高すぎるのもダメ 知的レベル+i ぐらいがちょうどよい) 「理解の歩幅」は大きすぎても小さすぎてもだめなのです。このようなことを避けるためにも、「できそうで、できない問題を1〜2問忍ばせておくことも重要です。 「こんなのもできないの?」と言われることはプライドが高い生徒にはこたえるわけです。ある予備校の先生がおっしゃっていたことがあります。「偏差値60ぐらいの生徒が一番やっかいだ。力はないがプライドが高く、素直に指導に従わないことが多い。その場合、できそうでできない問題を出して一度あれっ?と思わせる」とのことでした。(疑問文の場合は、「どこに彼が住んでいると思う?」 Where do you think he lives?あたりが、それに相当するかも)

生徒には、Do you know where he lives? と Where do you think he lives?の2種類のWh疑問文の作り方があると確認します。(Do you know 型, do you think型)where he livesを2分割して、( Where ) do you think ( he lives )?にするんだよと教えます。

養老先生も「バカの壁」とおっしゃってますが、「自分は知っているんだ」と思い込んでいる状態は一番ものごとを受け付けない状態だと思います。素直が一番です。ただし、「実は知らなかったな」と生徒に素直に授業を受けてもらうだけの教材を作る力量と、生徒の力量を見定める力がこちらにも求められています。

最後に、同僚との関係で完全にオリジナルの問題を作れないと思っている方がいるかもしれないが、その乗り越え方はカンタンだ。私は教科書の例文には☆(白星印)をつけ、教科書の問題には★(黒星印)をつけている。自作プリントと言えど、教科書の問題は必ずいれている。ただし問題を付け足したりして(付け足した問題は無印で、テストには出さないことを生徒と確認している)問題の配列を思いっきり前述のやり方に沿って変えている。問題数が多くはなるが、生徒はこっちの方がいいと言ってくれるので、問題はない。

プリントには原則書き込みを禁止し、ノートの左側に貼らせ、右側には答えを書かせている。右と左には必ず英語、日本語がある状態にし、英→日、日→英の訓練がしやすいようにしている。ノートはB5のプリントをはっても余白ができるようにA4を買わせるようにしている。

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2011年10月 6日 (木)

0369- 01110076 Thank you, Steve

今朝のニュースは衝撃的だった。本当に残念。ここまで喪失感が大きいとは自分で思っていなかった。 Apple 元 CEO スティーブジョブズ氏の死去のことだ。

初めてMacを見たのは、新宿のLOFT。24年前。Macintosh PlusとSE30が展示してあって自由に触れた。え、何これ?一瞬にして心を奪われた。革新的なインターフェース。アメリカの匂いがぷんぷんする遊び心。Mac Paintで実現されていた、コピー&ペーストなんてそれまで見たこともなかった。フォントが一瞬にして変えられる?文字の大きさが変えられる?見たそのままで印刷できる? 何もかも衝撃だった。

社会人になって初めて買ったパソコンが Macintosh LC。アパートに納品されたのは冬だったけどうれしかったなあ。今でも覚えている。それから人生の半分以上をMacと一緒に過ごしてきた。

Apple が傾きかけたとき、彼が帰ってきた。本当にうれしかった。iMacの発売。iPodは初代を買い、iPod Touchも買った。そしてiPad. iPhone. 彼はテクノロジーを再発明しつづけた。そしてそれは徹底的なユーザー中心主義、なにもかも彼の美意識に基づくものだった。

多くの人々はアップルの製品を単に買ったのではない。スティーブの強力な美意識と、先見性を買ったのだ。それらの製品に自分を重ね合わせ、未来を夢見ることができたのだ。

Steve Jobs 彼には心から感謝したい。 ありがとうスティーブ。 安らかに。 RIP

http://blue- enzo.cocolog-nifty.com/blog/2006/03/post_08db.html スタンフォード大学での伝説スピーチ

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2011年10月 1日 (土)

0368- 111001 読解に文法を活かすには

読解に役立つ英文法という視点で書いてみたい。

読解において文法というのは統語認識のためのパターンのことであり、ここから逸脱して読んだらダメですよーと読者に知らせるものである。しかし読解において基本文法だけ知っていればよいかというとそれは違う。読解のためには基本的な英文法の学習の先にあるものが必要だ。いわゆる英語長文未満、文法以上、英文解釈と呼ばれる領域のものだ。(薬袋はFrame of Referenceと呼んでいる。)学習者が指導者がいなくとも自動的に判断していく枠組みを教える必要がある。

いくつか例をあげてみる。

文頭に来る言葉の自動認識システム

「文頭にある To V」は、まずは「するために」ととる。のちにSVがでてきたところでそれが間違いないと確認できる(もし〜ならばかもしれないが)。また、Sに相当する名詞がでてこない場合、名詞句=Sと判断できる。

「文頭にくるVing」は、カンマがあれば分詞構文、なければ分詞か、動名詞=S」という判断のフレームワークを学習者に伝えることが重要である。

「文頭にある前置詞がついた名詞」は主語にはなれない。副詞句になる。Sは別にある。

「文頭にある、接続詞で始まる節」は原則副詞節となる。あとにSVが控えていると予測しながら読む。

「文頭にある名詞」は原則Sになる。

「文頭のit」は仮主語かもしれない (= to 以下、that 以下)という推測
 It is....のあとにthatがでてくれば、It is とthatをはずしてみて完全な文ができあがれば強調構文であるし、そうでなければ仮主語構文の可能性が強い。強いと書いたのは thatが関係詞であり、Itが単なる代名詞にすぎないこともあるからだ。thatが指示代名詞のこともありうる。

Sが長くなるしくみを認識する

S ( 関係詞.......)V   
 名+名+動詞は関係詞節ありと見抜く目。
 Sにつく関係詞節は前から2つめのVの直前でかっこをとじる。

S ( Vpp..........) V  
 VppとVの過去形が同形の場合は視野を広げる。
 述語動詞がないか探す。
 and等の接続詞がなければ自動的に前のものは過去分詞と判断。 
S ( Ving........) V
S (前置詞句) V
S (形容詞+アルファ)V

動詞のあとがどうなっているか認識する 


O+Xの判断

SVOO 
原則として、動詞が「人に何かを与える動詞、つくってあげる動詞」の場合、SVOOのパターンになりやすい。動詞の意味的分類(与える・作る)であとに人、もの(ごと)が続くと類推する。逆に、人、ものごとのパターンになっていれば、(与える か 作る )と訳しておけばまず間違いない。

SVOC
OとCになるには、主語ー述語ネクサス関係あり
1) be動詞おぎなうパターン
  She made { me ( was ) happy.}
   She saw { Keiko ( was ) crossing the street }.
   She heard { her name (was) called }.
   She kept { him ( was ) waiting }.
   She left { the door ( was ) unlocked}.
   She couldn't make { herself  (was) understood} in English.

2) 一般動詞でつながるパターン
  My mother told { me to study hard}.  (学習英文法ではSVOCに分類)
  My mother made {me study hard}. (使役動詞のうしろの動詞にも昔to有)

3) 動詞単位で認識パターンを教えた方がよいもの
  have モノ Vpp    have 人  V   (プロ等に当然のこととしてしてもらう)
   leave, keep, get, などの文型ごとの意味の確認。

動詞+O+前置詞のパターン認識
 rob 人 of  モノ
 provide 人 with モノ
 prevent 人 fromVing

節の中に節が入り込んでいくパターンを(とくに動詞が3つある)認識する
 She said 【that [what impressed her] was the way he spoke.】
  Scientists used to think 【 that men are different from animals <because they can think and learn>.】


要素間が離れていることを認識する(次にこれがくるのではないかという推測)
It is because she is very interested in what she has learned at university that she often visits African countries.

基本的な認識パターンの育成

前置詞句のパターン認識(形容詞句、副詞句)
  I live (どこに?) in Tokyo.(東京に)
  People (どこの?) in Tokyo (東京の)
  *前置詞句の前までを訳せば、自動的に形容詞句が副詞句か決まる。
   うしろから訳さないことが大切。

不定詞のパターン認識
  She decided (どんなことを?) to go to America. (アメリカに行くこと)
  She saved much money (なんで?)to go to America.(アメリカに行くために)
  The opportunity (どんな?) to go to America(...行く)
  *やはり準動詞の前までを訳せば、自動的に役割が決まっていく。

and/ or / butの等位接続詞
  文法的意味が同じもの、同じ形のもの、同じ時制のV同士を接続。

節の支配領域の確認


訳語の一時保留
  
She made me....ときたら、「作る」ではおかしいと気づき、いったん訳を保留。happyを読んだ段階で「〜にする」に訳語を変更する。

     letterという言葉から「手紙」「文字」という意味を想起し、文脈に応じて意味を決定できる。

訳語はうしろから?前から?

  前置詞句や不定詞のパターン認識、訳語の一時保留の件があり、原則前から訳していきます。そうしないと、認識に時間がかかりすぎる結果になります。ただし、構造が複雑すぎるものはうしろから訳はやむをえないとしたいところです。  

まとめ

一通り文法を学んだ後は、あるいは学んでいる途中で、文法の上位技能である、「判断枠組み」を教えなくてはいけないと思います。

多くの生徒が長文で苦しんでいる現実を考えると、文法の判断枠組み(解釈方法)と、多くの単語が2つ以上意味を持ち、文脈で決定されていることをしっかり教えることが基礎基本につながるでしょう。

この2つが自動化された後に、ようやく、「言い換えー逆接ー原因結果」等の英語の論理構成に目を向けることができるようになります。段落主旨、本文の主旨といった本来の内容理解のレベルに進むことができるようになります。もちろん中学レベルの判断枠組みが自動化されれば、そのレベルの英文の段落要旨、本文の主旨はわかるということになります。

今後は、文法項目に照らし合わせ、中学や高校のどの段階でどの判断枠組みをマスターさせていくのか先生方と話し合えればと思います。(ちょうどベネッセ東北さんで、Can-do listの企画に携わっていますので) また皆で使える、公文式のような段階ごとの教材なんかが中高連携で作成できるといいですね。

 

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