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2008年7月27日 (日)

0151- 080727 スラッシュリーディング 7

スラッシュリーディングの利点と弱点

利点はリスニング、スピーキング、ライティングとすべての力に転用できることです。英語の運用能力全般を高めることができます。これは次のような力をのばすからです。第一にチャンクを意識できること。チャンクは発話やリスニング理解に最低単位と言われています。このつなぎ方やどう並べるのかを学べるのですから悪いはずはありません。第二に、オンラインの処理能力をあげられること。オンライン処理とは、「次々と入ってくる情報を頭(ワーキングメモリー)に一時的に保存し、その内容を解析、さらに入ってくる情報を保持しつつ、以前入ってきて解析されたものとどうつながるのかを解析して意味を決定していくという一連の作業です。」

リーディングのテキストであっても、音声CD(ただしチャンクごとにポーズが入れられているもの)が重要なわけがここにあります。学習者はポーズの時間にオンライン処理の時間がとれるのです。ですからポーズごとに聞こえてきた音声の意味をとっていくことは強制的に前から意味を処理をする過程にさらされることになり、結果的にリーディングの処理速度をさらに速めます。

ここで終わってはだめで、次にはポーズなしのハイスピードの音声を聞きます。すると今度は和訳をしている時間がなくなります。聞こえてきた音声に対し、訳ではなくイメージで対応せざるをえなくなります。これになれると、音声とイメージがダイレクトでつながり、和訳を排除できるようになります(私の経験上)これが速読にもたいへんよい影響を与えます。ただし、CDは単に聞いているより、自分の声に出してみたほうがよりinternalized(地肉化)されます。これは間違いないです。

さらにさらに 1)速音読(できるだけ速いスピードで音読すること)や、2)1.4〜1.8倍速くらいの英語を繰り返し聞くとオンライン処理の能力をさらに高めることができます。1倍速に戻ったとき、余裕で処理できるわけです。これも量を確保してどんどん聞いていると、リスニングの質の変化が起きます。初めて聞く文でも、語彙と背景知識があるものなら聞こえるようになります。

また一文単位の処理時間が短くなることで、ここに使われていたワーキングメモリーが解放され、文脈の保持、内容の推測、パラグラフ展開の理解等より高次な作業を行えるようになります。ボトムアップの力を研ぎすますと、つまり一文一文を速く読めるとトップダウンを行う余裕が初めてでてくるわけです。

では弱点はあるでしょうか?

実は弱点はありません。「利点が異なる」だけなのです。スラッシュリーディングで一文一文のボトムアップ理解が自動化されると、どこかが主張で、どこがデータかを見抜くトップダウン処理を行うための余裕(ワーキングメモリのパワーがトップダウン処理にふりわけられるようになる)が格段にでてきます。要約問題などに対処するにはどこが主張で、どこがデータかという読解の仕方は別に学ぶ必要があります。もっとも、これができるようになる前提(必要)条件として、スラッシュリーディングがあるのですから、どちらか一方が重要なのではなく、結局相互補完関係にあると言うことです。

その一方、構造が複雑な初見の文は、また別の読み方も求められます。国公立の2次の下線部和訳問題には、文の最後まで視線をさっと送って初めて気づくような複雑な仕組みの文がでるということです。例えば節が何重にもでてくるような、構造が複雑な場合や、重要な要素と要素が離れているところに置かれている場合は、前から順送りにチャンクごとに意味をとるやりかたをやめ、ピリオドまでいったん目を通してから訳の方針をたてざるを得ません。これは伝統的な英文解釈の力がないと対応できないということになります。そうはいっても、このような読み方ばかりに慣れてしまってもダメです。「きわめてゆっくりとしか読めないこの読み方」では、仕事というか、スピードが求められるコミュニケーションには使えません。このような文であっても、その後しっかり練習して、結局前から意味をとれるようにしていくことが大事です。こういう文もネイティブは前から意味をとっているわけで、最終的にはこのような文も前からスラッシュリーディングできないといけません。リスニングやライティングにも使えるよう、一歩一歩乗り越えて行くわけです。

つまりすぐれた読み手にとってスラッシュリーディングは なくてはならないもので、リスニング、スピーキング、ライティング、リーディングの力を伸ばすために mustである非常に重要な技法であり、伝統的な英文解釈法よりも10倍以上重要度は上であることは間違いありません! ただ、筆者の意図を読み解く方法論は1つだけより、多いほどよいと思います。場合に応じて使い分けるわけです。(メタ認知の観点から)


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