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2008年1月28日 (月)

0122-08128 くじら構文 no more...than... 追記

英語教育に関するあるメーリングリストに入りました。そこで投稿した記事です。

くじら構文に関しては以前のエントリーでも取り上げています。2006 12/11のエントリー
「no more...than... 」をご覧ください。

At present there is no more urgent and important task than solving the problem of food.を両方否定の文と訳してしまう生徒への指導方法をYutakaさんに尋ねられて.........

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Yutakaさんありがとうございます。Yutakaさんがあげられた文の説明には、やはりプラスマイナス法では限界がありますね。ご指摘ありがとうございました。そこであらためてこの件に関して調べ直してみて自分なりに一つの結論に達しました。

まず最初に研究社「英文法がわからない!?」からひとつ例文をあげさせてください。

I can no more swim / than a hammer can.

筆者は述べています。「ネイティブは果たしてthan以下を否定文ととらえているのでしょうか。素直に訳せば「君、泳げる?」と聞かれて「うんかなづち程度に泳げるにすぎないよ」と言っているのではないでしょうか。」

この文に衝撃を覚えました。

ひとつには、than以下は「お互いどうしがわかっている絶対的基準でなくてはならないということです。」それがいいことでも悪いことでもです。かなづちはどうしたって泳げるわけありません。それと同程度だよ。という修辞的表現だったんですね。as...as構文にも He is as smart as a monkey.(彼の知的レベルはサルと同程度)という修辞のしかたもあります。そういう意味では私が使った She is no more beautiful than her sister. はダメ例文でした。her sisterが大変なブス(失礼)だということをこの例文単体では生徒に伝えきれていないからです。

この構文は一文単位で訳させるだけでは全く不足で、「君、泳げる?」のような前文というか文脈をつけた上で学習させることが必要だと考えています。そしてthan以下は筆者と読者、話者と聞き手の間で共有された絶対的な基準である必要があることにも改めて気付きました

そういう意味から言えば、「かなづち」の例文は大変優れています。修辞が分かりやすい上に文脈が設定しやすく、さらに生徒にとって身近だからです。A whale is no more..でいくら機械的に練習させても生徒は使えるようにはならないようです。例文は生徒にとり身近であればあるほどいいと思います。

次に「現代英文法講義」 578ページからの抜粋をあげます。no 比較級について触れてある場所です。

I am no taller than John.

上の例文で noは、tallerを否定している。
I am [ no taller ] than John. ということだ。

これは「私はジョンよりゼロ程度しか背が高くない。差がない。(ー身長が同じだ)」= I am exactly as tall as John.と書かれています。

*ジーニアス大英和ですとno 比較級.... than...は「反対の意味の形容詞のas原級asでいいかえられる」とあります。すると I am no taller than John,は I am as short as John. という意味になり, ジョンが背が低いことが前提として、ジョンと私の背は同程度だよ。という意味になるわけです。ただこの点はジーニアス大英和と現代英文法講義の説明が一致していないところで、よくわからない点です。

話を元に戻します。まとめますと、no 比較級は「より〜だということはないよ。差はないよ。=同じ程度だよ」という意味になります。(no 比較級がゼロ差を意味するということは 英和辞典E-Gate 1109ページにも明記されています)

現代英文法講義からの抜粋をつづけます。582ページに
I am no more mad than you are. という例文があります。

単なるno比較級...than...と、no more...than...の違いは、後者の構文のthanのうしろは話者と聞き手が共有している、ちっともそう思っていない話がくるという点です。

この例文には、「君は僕と同様に気が狂っていない」という意味がつけられていますが、私は以下のように解釈しました。「君も僕も君が狂っていないのをわかっている。僕は君よりくるっていることはない。差が0。つまり僕もくるっていない。」この文のyouは、ふだんまともな発言をしている人なのでしょう。thanのうしろには話者、聞き手とも全く信じていない話がきます。ただしこの文が例文として弱い点は、この文だけでは「you が正常」という二人の間で共有されている前提条件は学習者=読者によく伝わりません。単文の例文として使うには修辞が非常に分かりにくい文でもあり、一文訳の弊害があるような気がします。前文として「お前気は確かか?」という文があり、「I am no more mad than you. 狂っている度合いは同じぐらいさ/お前さんと比べてね。」と返すのなら使われるシチュエーションもうかびます。「君が狂ってないのと同様に僕も狂っていない」とするとこの修辞法を使う意味がなくなってしまうような気がします。単に as...as..構文を使えば十分ということになります。

このように考えると、くじら構文も前に次のような文を足すと生き生きしだすかもしれません。

A君「なあくじらって魚だっけ?」

B君「お前は馬鹿だな〜。ほ乳類に決まってるだろ!

   いいか。馬ってのは魚じゃないよな。それと同じ事でくじらってのは魚じゃ

   ないの!」 こんなかんじでしょうか。 

   一文レベルで訳させるナンセンスさが伝わったでしょうか。



以上のようなことを踏まえ、At present there is no more urgent and important task than solving the problem of food.の理解のさせ方ですが、

私の場合、この文だけ単独で訳させることは絶対避けたほうがいいかなと思います。直後に、For example, there are millions of people starving in the world.とでも文をつけた形で指導に入り、なんとなく食糧危機が重大問題でありそうだな〜という情報ををまず生徒に理解させます。その上で「食料問題の解決と同様に、現在は緊急で重要な問題はない」ではおかしいことを確認させます。さらにno task is more urgent and important /than solving the problem of food.とno....比較級 than....の文に言い換えるよう指導します。

 



There is no more difficult problem than this one. A lot of scientists have tried to solve it for many years, but have failed so far.

1)一文で単位で訳させることはしない。生産的ではないから。
2)最初に「...と比べて同程度〜だ」と訳させる。
3)文脈に合致しないとき、最上級表現にぱっときりかえられる練習を
  意図的に組み込む。

 私が考えたことは以上です。高校レベル(大学入試レベル)ではこのくらいでいいのではと思います。このような思考のきっかけをつくってくださってありがとうございました。

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 追追記

自己レスです。

At present there is no more urgent and important task than solving the problem of food. に類する文が江川先生の英文法解説 176ページにでています。江川先生は「ふつうのno more... than...構文とくれぐれも混同しないように」と書いています。構造がそもそも違うわけですね。

ふつうの no more... than...では、noは more....の部分を否定し、「差はない・同程度」と言っています。このnoは副詞ですね。

それに対し、ご指摘の文の noは、more形容詞でなく、名詞(ここではtask)を否定している形容詞であるような気がします。no taskということですね。「よって No task is more urgent and important than...という文と同等の意味になる」という説明ではだめでしょうか。

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コメント

X no 比較級 than Yと鯨構文の違いは以下の通りです。
1 後者はかならずmore+原級を用いなければならないが、前者はerで終わる比較級も用いられる
2 前者はX≦Yを意味するが、後者は=を意味する
3 後者では通常、比較に用いない語も用いられる(ex.He is no more a teacher than I am.のteacher)
4 鯨構文は極めて修辞的な特殊な文で、than以下が自明であることを前提にし、皮肉を込めて主節がthan以下と同程度であることを主張する。和訳すれば「もし、鯨が魚だったら馬だって魚だということになるよ」。かつてのヒッチコック監督の名作「裏窓」のセリフに以下のものがありました。
I'm no more a criminal than you are.(もし私が犯人だというなら君だってそうだよ)
なお、すべての比較構文のthan以下は鯨構文に限らず否定文です。否定極性表現が用いられるからです。従ってthan以下に否定文は用いられません。

投稿: キク | 2008年9月14日 (日) 09時33分

『現代英文法講義』と『ジーニアス大英和』の説明は一致していると思います。
『現代英文法講義』がI am no taller than John. [= I am exactly as tall as John.]としているのは知的意味レベルのことでしょう。どちらも知的意味ではI とJohnは同じ背丈だといっています。このレベルでは2書は一致しています。
 注意すべきはMary is as old as John.でも二人は老人かもしれませんし、赤ん坊かもしれません。同様に I am as tall as John.は二人は長身かもしれませんし標準以下かもしれない点です。

次にA is no+比較級+than B の構文の典型はno less than …で、これは used to emphasize a large amount : The guide contains details of no less than 115 hiking routes. (OALD)から分かるように、115は「多い」と双方が了解していることになります。lessとlargeが対照されています。「お互いどうしがわかっている絶対的基準」が了解されているわけです。I am no taller than John.ではJohnが標準以下の背丈であることが双方に了解されています。tallとshortの対照となります。このレベルでは2書は一致していません。

ただし『現代英文法講義』はI am not taller than John.との意味の違いを説明する上で I am no taller than John. [= I am exactly as tall as John.] とパラフレーズしているのですから、Johnが標準以下の背丈であることは前提にしているのだと思います。そうすれば2書の説明は一致していると考えられます。         (pigot)

投稿: | 2008年11月26日 (水) 10時24分

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