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2008年1月26日 (土)

0121-0127 強調構文

強調構文について

強調構文はIt isとthatの間に強調したい言葉をはさんだ構文だとよく言われますが、では、このitは何なのでしょうか?そしてthatはなんなのでしょうか?考えていきたいと思います。高校生レベルの教え方はこのブログの後半にでてまいりますので、強調構文の正体について少しおつきあいいただければと思います。

......................................................以下 現代英文法講義より...........................................

強調構文は分裂文とも呼ばれる。1aは典型的な強調構文(分裂文)である。
ところが1bも1aの文と比べ機能差はないと述べている方がいる。
現代英文法講義を書かれた安藤先生である。

1a  It is a car that he wants to buy.
1b  It is a car.     

安藤先生はこうも述べる。「強調構文のitは単なる飾りでなく、なにかを指し示しているもの。その証拠にitのかわりに that、those, heなど、指示性のある言葉が用いられることもある。」つまり、このitではじまる強調構文を使うには、文脈からitが指す内容が分かってないとダメというわけです。

言い換えると、前に Jack has something to buy.  Can you guess?  などの文がもともとあり、それを受ける形で It があるという主張です。安藤先生は続けて、Itは前文のある要素を受ける代名詞であると同時に、関係詞節の先行詞であることも述べられています。先生によると強調構文のもともとの形=基底構造は次のようなものでした。

It (that he wants to buy ) is a car.

これが基底構造としてありましたが、関係詞節が文尾に義務的に(=必ず)移動し、It is a car (that he wants to buy. )という文になったと述べられています。

まとめますと、現代英文法講義には、「強調構文のitはかざりではなく、上記の場合は、前文のsomething to buyを受けている、代名詞であり、かつ、関係詞節の先行詞であるとの意見が有力」と述べられています。安藤先生は細江(1971), Jespersen, MEU(1926), Chomsky (1981)などの研究をあげて例証されています。

これらの研究結果から学べることは、強調構文は一文単位で練習していてもダメで、文脈の中で練習しないとほんとうの使い方が見えてこないということです。上の例でいくと、「Jackには買いたい物がある」という前提が話者の頭の中になければ強調構文を使うことができません。別例を見てみましょう。

○関係詞節の側面を確かにもつ強調構文

Can you guess the woman who I love?    It is you (who I love).  基底構造は It (who I love) is you.でこのitは前文のthe womanを指している指示代名詞。who以下は関係詞節です。ちなみにIt isのうしろに人間がくるときは、thatよりwhoが一般的。(whomよりwhoのほうが多いようです。)

強調構文ではthatのかわりに、who, which, when, whereなどが使われることがあります。

It was my brothers who were living in the house.

これはthatに明らかに関係詞的な性質があることを示しています。
よって次のような強調構文も「あり」になります。

It is the chess club to which I belong.

It is the chess club that I belong to.

It is  to the chess club that I belong.

It is their own parents whom children values and with whom they identify themselves.
子供が大切にし、一体感を持つのは他でもない彼らの両親である。

○強調構文のもう一つの側面ーサンドイッチしただけの構造ー

このように強調構文には関係詞節としての一面もありますが、その一方で、単にIt is....とthatの間に被修飾語をはさんだだけという一面も確かにあります。両方の面があるのが強調構文でしよう。その証拠に、It is... that 動詞の場合、動詞は被強調語の名詞に呼応して、先行詞としてのItに呼応しているわけではありません。

It was my brothers that were living in the house.

                           *wereは先行詞Itではなく、被強調語my brothersに呼応。

           「思考力をみがく英文精読講義」薬袋善郎 より引用

○情報構造から見た、なぜ強調構文を使うかの理由

もっとも根本的なことは、たくさんのもの、人、時などのなかで、他のものを排除する役割です。「他でもない〜」が強調構文で大事な点です。

さて今までは文単位での強調構文の成り立ちを見てきました。ここからはパラグラフの情報構造の側面から、強調構文がなくてはならない理由をみていきたいと思います。まず質問です。次の文は書き言葉として好ましいでしょうか。

A Russian made the first practical television system.

答えはNOです。普通書き言葉では旧情報→新情報の順で書いていきます。A Russianという新情報が文頭に出てしまうとこの原則に反するため、好ましくありません。もういいたいことはおわかりの人がいるかもしれません。そう強調構文の使用動機は、文頭に新情報が置かれることをさけるためでした。強調構文をつかわないと不自然な文になってしまうのです。強調構文を使うのは、新情報を文頭ではなく、It is の補語の位置、つまり節の末尾に配置すること(End Focus )で自然な情報構造にするためです。

 

It is < 新情報 > that <すでに出てきている旧情報>

なお、この文の後ろには、新情報についての文がつづくことになります。

もうひとつの強調構文の使用動機ですが、
 It is < 旧情報 > that < 新情報 New B> というものです。

あれさっきと言っていることが違うじゃないと思うかもしれません。説明します。

①Nearly every  traveler who enters a new culture experiences some  unpleasantness thta has come to be known as culture shock.  ② Jet travels makes possibles the abrupt loss of a familiar environment.  ③ Experts believe that it is this sudden change that cause culure shock. 

ここで言う、新情報とは全く新しい情報(NewAとします)ではなく、前に一度でてきた情報でこれを (NewB)とします。①でカルチャーショックの話を出します。②でジェット旅客機が環境をすぐに変えてしまうと言う話。次に③で話をまとめます。this sudden changeは②をまとめたもの。そして that cause culture shockは①をまとめた内容です。

つまりです。It is <旧情報> that <新情報B>のパターンの時の強調構文は、前に出てきた文章達をまとめ、要約してくれているありがたーい文になっているわけです。一応完結しているわけですから、次からは全く新しいテーマがでてくることが予想されます。

以上、情報構造の点から見て、2通りの強調構文があることがわかりました。

             英文読解のグラマティカより一部引用

*その後分かったこと

 It is ( 1 )that  (    2    ).   は、1+2ではじめてひとつの新情報になることがあります。( 1 )だけ新情報の場合は、that節以降は省略が可能ですが、前者のパターンはthat節を省略すると意味をなしません。この場合、1+2の新情報は完全な新情報ではなく、世間の合意あるいは常識を失念しているかもしれない相手に思い出してもらうために述べています。あるものごとに対して、こういう見方もあったよね。思い出してねと使います。

 一般論 (A=Bである)

     However

 It is ( C  ) that  (  D   ). (C=Dの見方もあるよ)

○高校生にどう教えるか

 強調構文の指導ポイント

1)オリジナルの文の中で強調したい言葉を抜き出しなさい。
2)it is とthatの間にサンドイッチしなさい。
3)残りはすべてthatの後ろに置きなさい。

4)強調できる言葉は、名詞、副詞句、副詞節のみ。
5)It is と thatをとりさり完全な文が復活できれば強調構文。
  そうでなければ 仮主語itと真主語thatの文。
6) It was not until yesterday / that she met him. は結局強調構文。

7)主節と従属節の時制に関しては予備校で教えていらっしゃいますこのブログの読者・キクさんから次のような情報が寄せられています。有り難うございます。

1 従属節が過去形でも、従属節の内容が現在時に至るまでの間に変更を受けることがなかったと考えられる、つまり現在でも通用する場合、現在形を用います。
2 従属節にのべられていた内容がその後、何らかの変化を被っている場合、つまり、従属節の内容に対して話し手が責任を持つことができないと考えられる場合は主節は過去形になります。主に天候や気温や気分、感情に言及する場合です。
ex.It was not love that John needed most, but money.
また、過去に言及する語句があり、現在の事態と切り離される場合も過去形のみ用いられます。
ex.When he went to California, it was a car that he wanted to buy first. 

   
では今後どう指導していけばよいか。実はあまりくわしい説明は生徒にはしないつもりです。英語学的にどうかというのはあまり生徒に関係ありません。ただひとつだけ改善するとしたら、前文を必ずつけた上で練習させようとは思っています。強調構文の命は情報の流れですから。

○追記(強調構文の時制や疑問文について)

1)強調構文の時制

  分裂文では2aのように主文と従属節の時制は一致することが多い。
  2a) It was John who broke the window.

  しかしいつもそうであるとは限らない。
  2bのように発話時において、誰がやったか特定するのを主眼においている
  場合、主文に現在時制を用いる。

  2b It is John who broke the window. 

2)強調構文の疑問文がある。

  It is John who broke the window.
     →Who is it who(that) broke the window?  
        窓を壊したのは一体だれ?

     →I don't know what it is that has been bothering him.

  
  Who was it who interviewed to you? 
      君にインタビューしたのは一体だれ?(Quirk et al. 1985)

  上のWho was it...の文は、疑問詞Whoを強調した強調構文です。
  疑問詞を強調するときは、疑問詞をIt is とthatではさむのでは
  なく、疑問詞の直後に is(was) it that....?を置きます。
  疑問詞+is it that......? という形になります。

3)It was I who loved you most,
      It was me who love you most.  はどちらとも正しい?  

  答えはYesです。

  マイケルスワンOxford実例現代英語用法辞典にありました。

  ○It is I who am responsible. ○It is me that is responsible.

  前文は I am responsible.という文を意識した言い方
  後ろの文は、先行詞Itと関係詞節を意識した構造。
    その証拠に It ( that is responsible ) is me.と、
    that節内の動詞はamでなく、先行詞Itにあわせ
    isになっています。

  なお、スワンによれば、
  前者は形式ばりすぎで、後者はくだけすぎです。

  このような印象をさけるためにたとえば

  「I am the person who is responsible. と言えばよい。

  とスワンは書いています。
  なんでもかんでも強調構文ではないようですね。
      

参考 謎解きの英文法       くろしお出版
   現代英文法講義       開拓社
   思考力をみがく英文精読講義 研究社
   英文読解のグラマティカ   論創社
   Oxford 実例現代英語用法辞典   Oxford Univ. Press

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コメント

分裂文の主節の時制は以下の通りです。
1 従属節が過去形でも、従属節の内容が現在時に至るまでの間に変更を受けることがなかったと考えられる、つまり現在でも通用する場合、現在形を用います。
2 従属節にのべられていた内容がその後、何らかの変化を被っている場合、つまり、従属節の内容に対して話し手が責任を持つことができないと考えられる場合は主節は過去形になります。主に天候や気温や気分、感情に言及する場合です。
ex.It was not love that John needed most, but money.
また、過去に言及する語句があり、現在の事態と切り離される場合も過去形のみ用いられます。
ex.When he went to California, it was a car that he wanted to buy first.

投稿: キク | 2008年9月14日 (日) 09時52分

キクさん、ブログへのコメントありがとうございます。すごく詳しい情報ありがとうございます。キクさんはどこまで高校生に教えるべきだと思いますか?いつも悩みますので...

投稿: Enzo | 2008年9月14日 (日) 23時34分

私は現在、予備校と高校で教えていますが、どこまで教えるかは本当に難しい問題ですが、結局生徒のレベルによるとしか言えないような気がします。最上位の生徒以外は「that節の時制と一致させる」くらいで済ましています。

投稿: キク | 2008年9月15日 (月) 00時16分

詳しく教えることが必ずしも生徒のためになるでもないし、生徒が「熱心な先生だ、ついていこう!」と思ってくれるわけでもないんですよねえ。

教師は詳しく知っている。でも生徒には限定的な情報を与える。ルールの与えすぎによるうんざり感と混乱を回避するため。といったところでしょうか。

教員研修で訪れた大阪代ゼミのK先生もルールはなるべく絞って教え、「たったこれしかないんやで」とやるとのことでした。生徒がマスターでき、問題が解けるようになったところで、「実はなもう少しあるんやで。知りたい?」うまいなあと思います。

私たちの仕事は予備校で教えようが高校で教えようが結局は、1)どこまで教えるのか、教える範囲を制限すること。(ただし習熟した後は追加情報を与えてよい)2)自力でできるようにするため考え方を整理したうえで生徒に提示すること。(新情報を提示するときは既習事項を示し、体系化してあげること)3)2)を促すためいつの時点でどのような教材をやらせるか計画すること 4)できた!という瞬間を多く作ること。5)そしてできればlanguage Useの場面を作ってあげること。かなと思います。

そして2)を支えるのが、圧倒的な教師の知識であるようです。

投稿: Enzo | 2008年9月15日 (月) 10時08分

It is ... であろうと It was ...であろうと文の流れでわかるのであれば気にすることはないと思うのですが。 従属節が変更を受けるとはどういう意味でしょうか? 従属節は事実ではないのでしょうか? 強調される部分に変更があるのはわかりますが。 

投稿: gollyyolly | 2010年1月11日 (月) 21時33分

gollyyolly様

当ブログをご覧下さりありがとうございます。

従属節が変更をうけるのではなく、主文の時制
が変わるのだと思います。

It is love that he needed most.

なら主文の動詞は過去でなく現在形です。
これは彼の必要なものがその時も今も
変わりないだろうと話者(筆者)が
考えているからだろうと思います。

It was love that he needed most.

なら彼の最も必要なものは今は
愛ではなくなっている恐れがある
と筆者が考えているということでしょう。

従属節うんぬんのくだりは、
当ブログの読者(予備校の先生)の方が書いて下さった
ものなのですが、私はそう解釈しました。

文脈の流れの中で強調構文(分裂文)を理解する
ことは大切ですが、is か was
かでこのような情報の違いがあるとすれば、
おろそかにできません。

だから英語っておもしろいですね。(^_^)

投稿: エンゾ | 2010年1月13日 (水) 22時19分

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