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2008年1月 4日 (金)

0113-080104 文法用語 不定詞

新年2号目。

to VにおけるVとは何か。

歴史的には,このVは一種の動名詞であったらしく,そこに〈方向や志向〉を示す前置詞toがついたものである。元々は,前置詞のあとに置かれるゆえ,きちんと形態変化を行なっていたが(ちょうど代名詞などが,前置詞のあとで目的格に変形するのと同じである),その後面倒な形態変化が消失し,いわゆる動詞の原形と同じ形態になってしまったらしい。

ちょうど試行的に書いてみると,

to goingのように,前置詞に付随することにともなう形態変化があったのが,
しだいに
to goのように,前置詞に付随しても形態変化を起こさなくなってしまった。

ということらしい。

形態論はさておき,次にto不定詞の意味について考えておきたい。これについては,さきほどの歴史的経緯の説明に含まれる〈方向や志向を示す前置詞〉という文言が手がかりとなる。つまり,現実として誰かが行為をしているという意味ではなく,今後誰かがその行為をしうるといったニュアンスが,to不定詞には含まれるのである。

ただしここでも少し注釈をつけておくと,いまの考察から判断して,不定詞という名称は,「まだ現実の行為となっていない」=「定まっていない=不定」というイメージにその淵源があると考えてしまうのも,なるほど一理あるけれども,不定詞という用語が指し示そうとしているのは,じつのところは,「だれがやるかはっきりしていない」という意味である。だれがやる行為かはっきりすれば,主語が定まり,動詞が主語の人称や数に応じて形態決定される。それが決定されていないから不定詞,というわけなのである。

ということは,同様に動名詞であれ分詞であれ,主語が明確に決定づけられていない動詞由来の表現は,総じて「不定詞」と呼ばれるべきものなのである。しかし,to Vといえば不定詞という思考の枠組が日本で定着してしまったいま,その地位を動名詞や分詞に譲り渡すのはむつかしい。(ヨーロッパ系の言語では,不定詞も動名詞も分詞もすべて「不定形」あるいは場合によっては大胆に「不定詞」の一言で括ってしまっていることが多い)

英語研究の分野では,そうした動かしがたい現状を鑑み,「準動詞」あるいは最近のものとしては,「非定形動詞」といった用語が採用されるようになった。

Veritasピンポイントレッスンより 2007年02月13日より引用
http://juken.alc.co.jp/veritas/archives/2007/02/post_32.html

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確かに、誰がやるか主語が定まっていないので、「不定詞」という用語が出来ているわけなので、動名詞も分詞もその理屈で言えば「不定詞」である。語尾を一定に定めているという意味では「定詞」でもいいかもしれない。用語が本質の理解を阻害している最たる例と言えるのではないだろうか。

生徒は塾で不定詞または原形不定詞という言葉を習ってくるかもしれないが、学校で導入する場合、to +動詞の原形 ぐらいにとどめておいたほうがよいかもしれない。不定詞(infinitive)という言葉を「まだ未定のこと、将来のこと、具体的でない抽象的なこと」という概念をむすびつける意味で使用するのはよいと思う。ただし、上述のように本来の意味=「主語が未定」という意味で使うのはかなり不毛な作業と言えるのではないだろうか。日本全国に広まってしまった用語であるが、提案としては「 未来抽象詞」とでもしたほうがいいかもしれない。また、不定詞の名詞用法は特に「動名詞」とも呼べるのではないかとも思う。用語の日本語訳が不適切なのでこのようなことが起こるのだ。文法用語の再整理がそろそろ必要ではないだろうか。

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