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2007年3月18日 (日)

副詞節の中でなぜ現在形を用いるのか?ー仮定法現在

仮定法現在

その昔、副詞節の中では未来のことも現在形で示すと言われました。

If it rains tomorrow, the school trip will be canceled. がそれです。

しかしこの正体は本当は仮定法(仮定法現在)です。昔は、「動詞の原形」を用い、その形で「(話す内容が)十分ありうるよ」ということを示しました。
たとえば「(梅雨の時期に)明日雨が降れば」は大昔は

□If it rain tomorrow, でした。

 原形ですから当然rainには3単元のsが付きません。
 この「仮定法現在」は古い英語で今は使われてません。
 現代の英語では、「仮定法現在」は「直説法現在」で「代用」されています

今では

□If it (rains) tomorrow, the school trip will be canceled.  とすることになっています。


次に、仮定法現在が使われているもうひとつの代表例が

要求・提案・依頼・希望などを表す場合です。

demand、request、desire、propose、suggest、require、insist


僕は、頭文字をとって「drips のうしろは原形」と覚えよ。と教えています。
   (demand desire / request require / insist / propose / suggest )

このような要求提案の動詞の目的語となるthat節では、学校では「原形を使え」と教えられています。そして主節の時制にかかわらずthat節の動詞は「常に原形」にします。

□ Kate's father suggested that she ( visit ) her uncle more often.
□ Kate's father suggested that she ( be) more diligent.

原形を使うのはアメリカ英語イギリス英語ではshouldをつけて、(should visit)(should be) にします。実は、古い英語(つまり仮定法現在)を使い続けているのはアメリカ英語のほう。イギリスからピルグリムファーザー達がわたった当時の英語がまだ残っています。ところがイギリスでは古い言い方を嫌い、shouldをつけるようになったとのことです。ただし最近ではイギリスでも原形を使うこともあるとのこと。言葉はつくづく生き物だなと思います。

最後に

 If節などでなぜ代用が起こったのでしょうか? やはりitのうしろが rainでは「落ち着かなかった」のではないでしょうか。ここからは想像ですが、人々は文法的真実より、「自分たちの感覚」を優先したのではないかと思われます。言葉というものは時代とともにどんどん移り変わるものかもしれません。

近代初期までは未来時制も現在時制で代用されていた。tomorrowなどの副詞さえあればいくらでも補ってくれたからだ。

その後、仮定法現在(原形)を使うようになった。

やがて仮定法現在(原形)のかわりに助動詞や現在形を使うようになった。

その結果、形容詞節、名詞節では willが残り、時の副詞節では現在形を使う用法が残った。時の副詞節には本来からあった「現在形が未来時制を兼ねる」という大原則が働いた。(重要)接続詞自体に時の前後関係を示す働きがあるので、(例 する前に等)主節が過去形でない限り、従属節は「未来」に決まっていたからである。 例 I'll go out / after I finish my homework  (英文法のカラクリがわかる より)

次の問題は要注意 (慶応大 改)

He will visit his grandmother next month, when ........
  1) he asks her to attend his wedding ceremony.
  2) he will ask her to attend his wedding ceremony.

  どちらでしょうか?

  答えは 2) 。実は カンマwhenで形容詞節です。名詞節と形容詞節の中では
  willは使い、時や条件の副詞節では現在形をつかうのです。

  かなり巧妙な問題と言えます。

  彼は来月祖母のもとをおとずれ、その時、結婚式への出席を頼むつもりだ。

 


 さて学校現場で歴史的な経緯を中高生に伝える意義はあるでしょうか? 中学生にはまだ無理だと思われます。高校生ならばこのことを疑問に思うレベルが高い生徒であれば教えてもよいと思われます。

 「仮定法現在は直説法で代用されている」ということを知っていたから英語の運用力があがるか?」答えはNOです。教師は歴史的知識をひけらかしてはいけません。それよりも、

 1)現在形は未来のことを含んでいること、

 2)時の接続詞があるので、willを入れずとも自動的に未来の意味になること

   (主節が過去形で無い場合)は伝えてもいいのではないでしょうか。

教えるべきタイミングをみて、あえて「教えない」か、または「副詞節_未来のことも 現在形」と、ルール的に教え「無用の混乱」を回避することも一つの選択肢であると考えます。

もうひとつ「仮定法現在」を説明しない方がいい理由は仮定法をめぐる用語です。前の仮定法のエントリーでも書きましたが、仮定法過去、仮定法過去完了、仮定法未来、これに仮定法現在が加わると混乱に拍車をかけるでしょう。

 

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