スラッシュリーディング3
英語リーディングの認知メカニズム(くろしお出版)によるとおもしろい研究が報告されています。私たちの英文の認知は2つの種類の認知によって行われているというモデルの紹介です。1つは左脳を利用した,音韻的理解。これはひとつひと分析しながら理解していく機構。もうひとつは右脳を利用した,視覚的理解。これは全体を通して何を言っているか,とか,比喩表現の理解などが行われているとのこと。そして私たちはどうやらこの2つの機構を同時(どちらかが優位になることはあるにせよ)に利用しながら英文を理解しているのではないかということです。それともう一つ,よく音読をすると,そのスピードに縛られてそれ以上のスピードで理解できなくなるというものがあります。これは音韻的理解機構が優位になるためだと考えられています。世の中には速読の達人もいます。彼らは音韻を理解のために使っていません。視覚から入ってきた情報が,意味とスパーンと直結しているらしいのです。これにより超高速で速読していくことが可能になるとのことです。
ここからは私の私見ですが,スラッシュリーディングはどちらかというと,音韻処理に近いものがあると思います。入ってくる情報をその都度解釈しながら,先に進んでいきます。では,視覚的処理はできないのか?そうとも言えません。十分に理解された英文を,「かなり速度を速くして意図的に聴かせる」とどうなるでしょうか。速すぎて「日本語の訳を頭にうかべることを」まずやめざるを得なくなります。そして「英語と意味を直結して理解・解釈するようになります」または「イメージだけを思い浮かべて理解」するようになっていくと思います。(自分の感覚からこう感じられます。)この状態こそ,訳がいらなくなった,英語と意味がとろとろに解け合った状態です。つまりこういうことです。
分析的に理解した英文に関して,意図的に速くした英文を聴き,視覚的(右脳的,高速)処理を行う。学習に終わりには,速度を速めたまたはナチュラルスピードの英文をくり返し聞かせた方がよい。という結論になります。何かと似ているなーと思ったら,ボトムアップ処理とトップダウン処理という言葉にも例えられるかもしれませんね。
トップダウン処理を行えるようになるには,
1)スラッシュリーディング等でボトムアップ処理を自動的に行えるようにする。
2)理解が終わった英文の高速リスニングをする。
ことかもしれません。
前回は句や節の判断をしながら前からうしろへ意味を取っていく方法について話すと言って終わってしまいました。今回はその続きになります。
スラッシュリーディングで一番の障害になることは実は,生徒が修飾関係をよく考えずスラッシュだけを切ることです。初期の指導では生徒が句や節がどんな働きをしているかよくわかっていない。どこにかかるか考えていないということがよく起きました。今は必ず,形容詞句,副詞句の指導から入るようにしています。
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