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2006年9月10日 (日)

Debriefing  ディブリーフィング

[Debriefing -ディブリーフィング」という技法。Debriefingとは,もともと下士官が上官に戦場の現状を「手短に」説明したことに由来するそうです。これは教育目的にも取り入れられ,とくにESLでも使われるようになったそうです。

 Debriefingのポイントは,

  1. 生徒が聴く活動をする前に,「他の人に聞き取ったことをレポートする活動があとに控えている」と伝えておくこと。
  2. キーワードをメモにとらせること。
  3. 自分が大事だとおもったことを3つ選ばせ,3人か4人グループでまずお互い同士に発表させること。
  4. 代表者がそれを教師にむけて発表すること。
  5. できれば,最初に話をした(講演者)人と,報告を受ける教師は別人のほうが,より,「レポーティング活動」としては真剣みが出てきます。
  

 ディブリーフィングの効果は何でしょうか? まず1つめにはアクティブリスニングを促している点があげられます。他者へレポートするつもりで聴くということです。

 2つめには,重要だと思われる「キーワード」を自己選択し,メモに残すことです。そしてこれは,枝葉を落とし,主要な点を3つに絞り込む際には絶対必要なことになります。大事な点を自分で選べるという点は,「自己選択」であり,生徒をやる気にさせる重要な点でもあります。

 3つめには,そのキーワードを「記憶を呼び覚ます鍵」として,内容をリプロダクションする点です。

 4つめには実際にそれを教師に報告させる点です。これをしなければ完成しません。

 そして最後には,他者の意見を聞き,自分が気づかなかったものの考えかたがあるのだという「気づき」があることです。

 さて,では高校ではどこまでこれが英語教育に使えるでしょうか。

 これは,実は,教科書のテキストが,事実を伝える「伝記」ものや,「物語」である場合に使うのに最適です。教師がテキストの内容を簡単な英語で言い換えて英語で話し,生徒はそれをメモに取っていきます。

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スラッシュリーディング2

スラッシュリーディングの指導は,まずどこにスラッシュが入るのかから始まります。それは以下の通りです。

 1)前置詞の前
 2)不定詞の前
 3)Vingの前
 4)過去分詞の前

 5)接続詞の前
 6)関係詞の前

 具体的にはどう生徒にスラッシュの位置を発見させるかそのサポート方法が重要です。

 でもこれはカンタン。文の最後に数字をつけておけばよいのです。

   (例)They are children at St. Oliver Plunkett Elementary School in Australia. (2)

 文尾の(2)は「2カ所にスラッシュが入るよ」という印。これを生徒と取り決めしておきます。生徒は上記の1)〜6)までの位置情報と,スラッシュの数情報をもとにスラッシュを切ります。「隣と相談してもいいよ」といい,話し合いさせます。なぜそこで切るのか,理由を説明し合う子もいますし,相手から学ぶこともあるのでそうさせています。時間を決め,その時間が来たら「はいやめ。」そのあと教師が答え合わせをすればいいのです。

 They are children / at St. Oliver Plunkett Elementary School / in Australia. (2)

 次の段階は予習をさせてきて,「どこで切ったか隣と確認し,発表しなさい」といって生徒に発表させてもいいでしょう。これは生徒の習熟度次第で調整できます。

 スラッシュの数ですが,生徒がなれるまではなるべく短い単位で切ってあげたほうがいいでしょう。最初は教師のコントロールを強くかけます。ルールを守らせます。

 生徒がなれたら「切る間隔を徐々に長くしていってもいいよ。」と指導します。「英文を読みながら,スラッシュの位置情報をもとに自分が必要と思ったところにスラッシュを入れなさい。」教師のコントロールを徐々にゆるやかにしてあげるわけです。

 スラッシュ切りの最終段階は「初見の文に対し,スラッシュをなるべく長い間隔で自力で切れるようにし,前から意味がとっていけること。」いつまでも教師のヘルプがないとできないようでは困ります。このためには,週末課題や,学期に何度か投げ込み教材を使って自力でスラッシュを切って読ませる訓練が欠かせません。

 ただしスラッシュの指導はあわせて名詞句,形容詞句,副詞句,節の指導を行わないと生徒は混乱します。僕は「句」や「節」は「カタマリ」と表現していますが,この「カタマリ」を見つけ出す方法と,それがどんな働きをしているか読みながら判断する方法,この2点が「みそ」といってもいいでしょう。これは次回。

 

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スラッシュリーディング

今時スラッシュリーディングへ批判的な方がいる。曰く「スラッシュの位置など生徒はわからないし,わかっていたらその生徒はもう相当な力がある」という批判だ。なんと「愚かな」と思う。こういう人でもスラッシュリーディングの効用は一応認めているものだ。しかし,指導上実用的でないというのである。悪いところは工夫し,良いところは残せばいいではないか。 工夫というものを全くしない教師の典型である。ではどうするか。
最初からスラッシュ入りの教材を使う。スラッシュの入る場所を学ばせる。そういう教材を何本か頭に入れた後,スラッシュがついていないものを自力でスラッシュをつけて読ませる。スラッシュ入りの教材を覚える中で前から意味を処理する方法を学ぶ必要もあるだろう。
 
学力が上がるにつれてだんだんスラッシュをいれる間隔は長くなっていく。しかし完全にはなくならない。心理言語学や認知言語学などの分野では,チャンク(句)ごとに言語処理していることがだんだん明らかになりつつある
 
読解には私たちはワーキングメモリーを使っている。ワーキングメモリーの処理量には制限があり,1)文字の音声化と2)チャンクを切ること(文法)に手一杯だと,内容の保持まで手が回らなくなる。読んだはいいがすぐ前に書かれてあることを思い出せないというのはこれにあたる。しかし,文字の音声化とか,文法など下位の技能がある程度自動化されると,そこに振り向けられていたパワーが内容の予測(anticipation)や,予測の訂正処理された意味の保持(Retention)といったより高度な作業にワーキングメモリのパワーが使われる。
 
音読が大切な理由は,文字を音声化する作業の自動化を促進することにある。すると限りあるワーキングメモリーのリソース(資源)を解放してあげられる。また意味は音と結びついているため,文字を見て音声がすばやく想起できるとその分速く意味にもアクセスできるようになるのだ。
 
スラッシュもどこに入れるべきかまず入れる場所を帰納的に学習し,あとはスラッシュ入りの教材を使うことでそれを確認していく。さらには自力でスラッシュを入れる活動を通してさらにその作業を自動化できるようにする。スラッシュを入れることを意識しているうちはワーキングメモリのリソースをそのために取られ,予測,訂正,決定,保持といったより高次の読解処理活動を行えないわけだ。
      
         

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