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2006年3月18日 (土)

SELHi から英語教育を見る

昨日,文科省主催のSELHi Forum 2006に出てきました。今後何回かに分けて見聞きしたこと,Forumで配布された資料などをもとにSELHiについて書いてみたいと思います。
 初回は,SELHiって何?ということと,その課題・成果についてです。
 まずSELHiとは,Super English Language High Schoolのacronymというかabbreviation です。平成14年度から文科省が指定をした学校に毎年300万の予算をつけ,英語が理解できるレベルではなく,英語が使いこなせるレベルの日本人を作ろうという計画です。今回のエントリーは,ベネッセコーポレーションが配布していた「VIEW 21  SELHi 特集」という冊子を使って,日本の英語教育を考えてみたいと思います。

その1 英語教育界で有名な4人の先生方の話より

SELHiの成果と課題の分析

 

(金谷憲 東京学芸大教授)SELHiは日本の英語教育にとって良き外圧となっている。たとえば私たちが抱える問題の一つは同僚問題。定期テストひとつとっても進度や内容を同僚とあわせる必要がある。新しい取り組みが形になりにくい。しかし,SELHiの導入は教師集団がひとつにまとまるきっかけを与えた。

*エンゾより
 SELHiでの指導は一人二人ではとてもできません。教え方,ワークシートの共有,お互いの授業の見聞き,公開授業といったことがどんどん進みます。指導法がわからなければ一緒に勉強会に出かけたり一挙に情報,技術の共有が進みます。成果をあげないといけませんからね。この結果,ばらばらだった個々の教師が,目標や技能を共有した強力な教師集団に変わっていくわけです。変わらざるを得ません。これがSELHiのねらいの一つでしょう。しかしこれはSELHi以外の高校にとっても本来必要なはずです。SELHiと言う名の黒船をどうとらえるか。教師集団としてまとまれるか否か。SELHi以外の英語教師の力量が問われます。

(金谷)私たち(中教審外国語専門部会委員)が想像している以上に高校には外部からアドバイスを受けるネットワークが整備されていない。

*エンゾより
 英語教師に限らず,教師は自己流になりがちです。授業の中でなぜその活動をさせるのかとか,なぜその順番に活動をさせるのか,理論を持ってやっていない場合があります。ベテランほどカンでやってしまう傾向が強いようです。これはある程度の経験に裏打ちされているだけに「たちは悪い」です。確かにベテランのカンは真実を含む場合があります。しかし「信念」という言葉のもとに,それ以外のことを学ぼうとする姿勢がなくなるのでは問題です。「教師でありつづける資格は学びつづけること」と誰かが言っていました。その通りだと思います。外部(の大学)のアドバイスを受けることにより,プログラム開発をし,効果を検証し,やり方を変えるといった一連の研究開発の流れが校内でできるようになったのです。思いこみではなく,実証データに裏打ちされた Plan Do Check Action (PDCA)のサイクルが確立されたこともSELHiの意義の一つだと思います。教師が自腹を切って勉強するというのは当たり前だと思いますが,一教師という点だけで終わり,なかなか他の教師へ波及していかないという側面もあります。したがって学校をあげて指導体制がとれたということはことのほか大きな意味を持つのです。一方でこれは国の予算がついたから実施できたという方がいるかもしれません。ならば一般校はSELHiのエッセンスを吸い尽くせばいいのです。どうせ税金で行った研究なのですから。 

 

(金森強 愛媛大教授)英語授業の活動が多様化したのはよい。しかし,一つ一つの活動の目標を生徒に伝えていないため,効果があがらない状況も見られる。何のための活動で,どんなことに気をつけて取り組まねばならないか,どう評価されるのか伝えなければならない。

*エンゾ
 これをAssessmentといいます。Evaluationは活動の途中と最後にしますが,Assessment(評価基準)は活動の前に生徒に伝えるべきモノです。これがあるとないとでは生徒のやる気が違います。私が文科省のカナダ研修に行った時も,EFLの先生方は必ずこれをしておりました。)

(松本茂 東海大教授)英語1・2の授業をどう変えるかは大きな問題。SELHiにおいてさえほとんど昔ながらの授業が行われている。

*エンゾ
 SELHi研究は英語科,国際科のみに集中し,普通科ではあまり行われていません。なぜかと言えば,そういった英語科国際科はもともと教育課程上,英語の時間数がたっぷりあるのです。英語の教員枠も多いでしょう。では普通科でSELHiと同じことができるか? 現状ではまだ研究があまりなされていません。これからはいかに普通科でSELHiを行うか,今までのSELHiで普通科に使えるエッセンスはないか論じていく必要があるでしょう。普通科ではかろうじて,千葉女子高校などがSELHiにとりくみはじめたところです。千葉女子校のがんばりに期待です。少数の有能な教師だけができるとりくみではなく,大勢の少し優れた教師が一生懸命取り組めばできる取り組み例を期待しています。

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