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2006年2月14日 (火)

多読と直読直解

 現在の学校で多読指導へ向けて準備中です。多読は多くのSELHiでも取り入れたりして,最近とみに実践が多くなってきました。

 個人的には多読は賛成です。

1つめの理由は「英文和訳をやめられる」からです。これはどういうことかと言うと,英語学習の初心者であればあるほど,訳を頼り,理解しようとします。

  英語→いったん和訳→理解  の流れです。

 ところが,だんだんレベルがあがってくると,

  英語→イメージ化して理解  という風に理解のプロセスが短くなるのです。

 これは,単語とイメージが訳を通してでなく,ダイレクトにつながってくるからです。

 極端な例を挙げましょう。We have two dogs. という文を見て,「私たちは2匹の犬を飼っています。」という「訳文」を思い浮かべ,「2匹の犬を飼っているイメージ」に到達するのと,文を見て,ダイレクトにイメージを思い浮かべるのでは処理速度が違ってくるということです。なれない内は,たぶん生徒は訳文を思い浮かべ,それで理解しようとするかもしれません。しかし,次第にダイレクトに理解する方がはるかに速く読めると実感できるようになると思います。これを直読直解といいます。これが読解の理想の状態です。

 直読直解は,スキャンニング,スキミングという読解技術とは別のものです。直読直解ができれば,スキャンニング,スキミングの速度はあがります。が,逆は難しいでしょう。

 もちろんいきなり直読直解に至るのは不可能です。段階を踏む必要があります。
その中で大きく効力を発揮するのが,スラッシュリーディングと,スラッシュごとの音読です。スラッシュリーディングについてはまた改めて。

 

 多読に賛成する2つめの理由は,文脈の中で語いの意味を推測する速度や,まちがった推測をしたとしてもそれを訂正して読みすすめる「推測→訂正」速度があがるからです。これは膨大な読解経験のなせる技です。このことも読解スピードアップに寄与します。

 3つめの理由は膨大な英語のインプットができるということです。中学,高校で生徒が読む英文の量は驚くほど少ないです。東京学芸大の金谷憲先生によれば,洋書20ページ程度という方もいます。東京電気大の酒井先生は100万語多読ということを推進されています。100万語読めばハリーポッターまで読めるそうです
(ある研究によれば1000語読んでも獲得される語句は15語程度とのこと。3000語マスターするには20万語読む必要があるとする研究者もいます。)読解速度が向上すれば読める語数もどんどん上がります。繰り返し異なる文脈で出会うことでどんどん基本的な語いからイメージが獲得され,和訳せずにわかる 語いが増えることが予想されます。(単語帳で学んだ語いも多読の中でくり返し確認できます。おそろしく効率は悪いように見えますが)

 4つめは,多読を通して,訳を離れ,だんだん英文をイメージ化して理解できるようになることで,リテンション(記憶の保持)率があがることです。読解スピードが遅く,和訳しながらようやくよんでいる状態だと,ワーキングメモリー(情報処理の場所)は,情報の保持まで手が回りません。そうすると,前に読んだことをどんどん忘れてしまうわけです。しかし,「言葉」ではなく,イメージ化して覚えていれば,ワーキングメモリーの負荷も下がります。これは,映画を見たとき,膨大なせりふを私たちは覚えられませんが,映像を思い出すことを通してあらすじを再生できることからもわかると思います。

 多読指導に向けて何を準備することが必要か,マインドマッピングに書き出してみました。Mac用のNovaMindというシェアウエアソフトを使っています。参考までにどうぞ。
「tadoku.pdf」をダウンロード

参考 SSS多読

   Mac用マインドマッピングソフト NovaMind



 

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