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2006年2月27日 (月)

変化のある繰り返し

「変化のある繰り返し」は英語学習にとても効く!

 教師が授業で犯す最大のミスは,「話が長くなること」です。これは文法など「説明」をする場面でありがちです。

 生徒は脳が働かない状態が5分も続くと眠くなります。これは私たちでも同じことでしょう。活躍する場がなく,頭を使うこともなく,ただ,おもしろくもない(特に文法)の話を淡々と聞いていることは苦痛以外の何ものでもありません。

 ではどうするか?

 「リズミカルな変化のある繰り返し」という考えを授業に取り入れるのはどうでしょうか?

 一つ例を示しましょう。これはTOSS (向山洋一先生主催)のサイトに載っていたものです。年度当初に「品詞」の概念を生徒に教えている場面です。

 (教師)重い・石 名詞はどっち? せーの 
 (生徒)石!
 (教師)高い・木 名詞はどっち? せーの
 (生徒)木!

 (教師)重い・石 形容詞はどっち? せーの
 (生徒)重い!
 (教師)高い・木 形容詞はどっち? せーの
 (生徒)高い!

 (教師)速く・歩く 動詞はどっち? せーの
 (生徒)歩く!
 (教師)速く・歩く 副詞はどっち? せーの
 (生徒)速く!

 (教師)じゃ形容詞って何?
 (生徒)名詞を説明することば!

 (教師)じゃ副詞って何?
 (生徒)動詞を説明することば!

 これは年度当初,私の高校でも実際にやってみて,大変わかりやすかったと生徒に言われました。

 この「変化のある繰り返し」のすぐれている点は

  ・生徒の頭が働いている点。
  ・似ているが,ほんの少し違うものを繰り返し出すことで,生徒に「気づかせている」点。
  ・活動に参加すること自体が,リズミカルな演習(ドリル)になっている点。

 生徒は自分で考え,授業の主役になっています。

 一方,「副詞は動詞(形容詞・副詞)を説明して,形容詞は名詞を説明する。叙述用法もある。」というルールをただ説明し,黒板に書くということは,生徒に単に知識を押し売りしているだけです。「学び,気づき」が起こりにくいと言えると思います。(教師は時にこのような授業をしがちであり,私も大いに反省しています)

 「変化のある繰り返し」は,Intakeや,理解をリズミカルに,楽しく促す最大の武器になる「形成的な,繰り返し学習」とも言えるでしょう。

 

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2006年2月14日 (火)

多読と直読直解

 現在の学校で多読指導へ向けて準備中です。多読は多くのSELHiでも取り入れたりして,最近とみに実践が多くなってきました。

 個人的には多読は賛成です。

1つめの理由は「英文和訳をやめられる」からです。これはどういうことかと言うと,英語学習の初心者であればあるほど,訳を頼り,理解しようとします。

  英語→いったん和訳→理解  の流れです。

 ところが,だんだんレベルがあがってくると,

  英語→イメージ化して理解  という風に理解のプロセスが短くなるのです。

 これは,単語とイメージが訳を通してでなく,ダイレクトにつながってくるからです。

 極端な例を挙げましょう。We have two dogs. という文を見て,「私たちは2匹の犬を飼っています。」という「訳文」を思い浮かべ,「2匹の犬を飼っているイメージ」に到達するのと,文を見て,ダイレクトにイメージを思い浮かべるのでは処理速度が違ってくるということです。なれない内は,たぶん生徒は訳文を思い浮かべ,それで理解しようとするかもしれません。しかし,次第にダイレクトに理解する方がはるかに速く読めると実感できるようになると思います。これを直読直解といいます。これが読解の理想の状態です。

 直読直解は,スキャンニング,スキミングという読解技術とは別のものです。直読直解ができれば,スキャンニング,スキミングの速度はあがります。が,逆は難しいでしょう。

 もちろんいきなり直読直解に至るのは不可能です。段階を踏む必要があります。
その中で大きく効力を発揮するのが,スラッシュリーディングと,スラッシュごとの音読です。スラッシュリーディングについてはまた改めて。

 

 多読に賛成する2つめの理由は,文脈の中で語いの意味を推測する速度や,まちがった推測をしたとしてもそれを訂正して読みすすめる「推測→訂正」速度があがるからです。これは膨大な読解経験のなせる技です。このことも読解スピードアップに寄与します。

 3つめの理由は膨大な英語のインプットができるということです。中学,高校で生徒が読む英文の量は驚くほど少ないです。東京学芸大の金谷憲先生によれば,洋書20ページ程度という方もいます。東京電気大の酒井先生は100万語多読ということを推進されています。100万語読めばハリーポッターまで読めるそうです
(ある研究によれば1000語読んでも獲得される語句は15語程度とのこと。3000語マスターするには20万語読む必要があるとする研究者もいます。)読解速度が向上すれば読める語数もどんどん上がります。繰り返し異なる文脈で出会うことでどんどん基本的な語いからイメージが獲得され,和訳せずにわかる 語いが増えることが予想されます。(単語帳で学んだ語いも多読の中でくり返し確認できます。おそろしく効率は悪いように見えますが)

 4つめは,多読を通して,訳を離れ,だんだん英文をイメージ化して理解できるようになることで,リテンション(記憶の保持)率があがることです。読解スピードが遅く,和訳しながらようやくよんでいる状態だと,ワーキングメモリー(情報処理の場所)は,情報の保持まで手が回りません。そうすると,前に読んだことをどんどん忘れてしまうわけです。しかし,「言葉」ではなく,イメージ化して覚えていれば,ワーキングメモリーの負荷も下がります。これは,映画を見たとき,膨大なせりふを私たちは覚えられませんが,映像を思い出すことを通してあらすじを再生できることからもわかると思います。

 多読指導に向けて何を準備することが必要か,マインドマッピングに書き出してみました。Mac用のNovaMindというシェアウエアソフトを使っています。参考までにどうぞ。
「tadoku.pdf」をダウンロード

参考 SSS多読

   Mac用マインドマッピングソフト NovaMind



 

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2006年2月12日 (日)

「女か虎か」


 百年前にアメリカの、F・R・ストックトンが発表したリドルストーリー(結末を読者に伏せる話)「女か虎か?」をご存じでしょうか? まずはごらんください。


 昔々、ある国に野蛮な王様がいた。王様は壮大な円型闘技場を作った。命令に違反した容疑者はそこへひきだされる。闘技場の一方の端には、二つのドアがあり、容疑者はそのどちらかの扉を開けなければならない。一方の扉の奥には その国でもっとも狂暴なトラが潜んでおり、一方の扉の奥にはその国で最も美しい娘が隠れている。 虎の扉を開けた容疑者は、たちまちズタズタに引き裂かれ骨になってしまう。美女の扉を開けたものは、その瞬間に許されて彼女を花嫁に迎えることになる。
        ——それが王様のユニークな裁判のやり方だった。
        王様には目に入れても痛くないほど溺愛している一人娘がいた。 彼女は身分の卑しい若者と恋に落ち、二人は王様の目を盗んで密会を重ねていたが、とうとうバレてしまい、若者は闘技場にひきだされることになった。
        そして、裁判の当日——闘技場は超満員となった。
        観客はもちろん誰一人として、どちらの扉の奥に虎が潜んでいるのか知らされていない。
        しかし、王女はそれを知っていた。彼女は半狂乱になって、その秘密を手に入れたのである。王女は恐ろしい虎と美しい娘の両方を前もって見ることが出来た。あの残忍そうな飢えた虎が、愛する若者を頭から噛み砕く光景を想像すると王女は失神しそうになる。
        しかし一方、あの自分よりはるかに美しい娘が若者と一緒になることを想像すると嫉妬で気が狂いそうになる。血の激しさを父親から受け継いだ王女は、手に入れた秘密を若者に教えてやるべきかどうか、迷いに迷った。そして、ついに決断した。
        闘技場に引きずり出された若者が、燃えるような目を自分に向けたとき、王女は密かな手の動きでその秘密を若者に伝えたのだった。
        王女が若者に教えたのははたして美しい娘の隠れている扉だったのだろうか。
        それとも、凶暴な虎の潜んでいる扉だったのだろうか。


作者はこう語ります。

 「王女がいずれかに決めたという疑問は軽々しく考慮すべき問題ではないし、作者はこれに答えうる唯一の人間だとうぬぼれる気はない。そこで、作者は、すべての解釈を読者に委ねる。開かれた扉からは、どちらが現れたであろうか——女か、それとも虎か?」

 さて,英語教育ではよくコミュニカティブ,インフォメーションギャップという言葉を耳にします。生徒同士に異なる情報を「持たせ」ギャップを作り出し,相手のもつ情報を聞き出すことでインフォメーションギャップを作り出し,コミュニカティブな活動にしようという取り組みです。しかし,インフォメーションギャップがあればコミュニカティブかというとそうでもありません。中嶋洋一先生はこうおっしゃっています。「コミュニケーションとは意味の創出があり,そのやりとりである」と。つまりお仕着せの,くいちがった情報を与えられてもそれはコミュニカティブな活動とはほど遠いというのです。

 女か虎かは結論が伏せられていて,読者に結論がゆだねられています。私はLHRで,この教材を日本語で与え,話し合いをさせたことがあります。驚くほど熱中して話をしていましたし,一人一人の意見を発表させ,いい意見が発表されると,そこかしこで「オオ!」という感嘆の声が聴かれました。

 私は,生徒には時にはこういう教材を与えたいと思うのです。(現在のところ英語では与えていません)「女」がでてくるか「虎」がでてくるか?そしてそれはなぜか?生徒は自分の意見をいいたくなります。ただし一人一人考える時間が必要です。カナダの教員セミナーで習ったことの一つに,

 Think  -  Pair - Share というものがあります。

 個人の意見を考える時間を与え,それから,ペアで意見を共有する。最後にグループやクラスで共有するという考えのものでした。カナダのESLではペアワーク,グループワークが非常に多く行われていましたが,この考えに基づいて行われておりました。

 話がそれてしまいました。 

 生徒の「伝えたい!話したい!」という気持ちを引き出す「しかけ」をすること。やるまではおっくうだったけど,やってみたら充実感があったというようなしかけをできるだけしていくことこそがコミュニカティブな活動,教育なのかなと思いました。

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2006年2月10日 (金)

語い学習(2)

語い指導(2)

私の実践を少し。

前回書いた,Evaluation,とSearchを使った,「英語定義・説明を読み,単語の意味を推測しよう」という活動です。

ワークシートに

  1. New wordsを書き,同時に定義か説明を英語で書きます。 
    例 tripod: It is a tool. You can use it when you take pictures.
                    It has thee legs.   推理した意味(    )
  2. 生徒は説明文を読み,それが何か推理します。
  3. ペアワークでやらせると気づきが生まれよいようです。
  4. あたっているか辞書を引かせ確認させます。  

  この活動の理論的背景は,いいかえは重要なコミュニケーション上のストラテジーであり,単語の推測活動が語いの深い処理を行わせる点にあります。私(エンゾ)は,電子辞書で「ロングマン」を使用しています。2000語の基本語で簡潔に語いの説明をしているからです。

  英語で語いの説明をするにはいくつかやり方があります。

 やり方1)説明型 Snow: It's white. It' cold. In winter you see it. 

 やり方2)反意語型 huge:  the opposite word of "small"

   やり方3)If型      trouble:  If you are in trouble, you need help.

   やり方4)文脈型  The hospital is so huge that I often get lost.
                     *get lostは既習語であること。

  などです。「定義なんかすぐにぱっと思いつかないよ」という方は,電子辞書でロングマンが入ったものを使うとか,Who am I? , What is it?などの「英語定義→単語当て」活動をしてみると,案外慣れてくるモノです。


しかし,これだけで単語が定着するわけではないと私は思います。

  音声の練習とスピードが重要です。長崎玄弥先生によると,1秒以内に意味がいえない単語は死んでいるそうです。よく私は生徒に「おまえの単語は死んでいる」と言っています(笑)そのため,授業でのスピードをともなった単語指導と音声指導は重要です。(フラッシュカードは使えるアイテムなのです。これに関してものちほど)

 また岡田先生の実践ですが,多読用の読み物で,Self-generated uptake testというものをやっているそうです。これは,生徒が自分で推測したり,辞書で引いた単語を自分で20個選ばせてするテストだそうです。
                             解答     解答
 1 disability   (    ) (    )
 2 wheelchair (               )     (               )

   テストは名前を書かせいったん回収。
 1週間後テスト。解答は右側の欄に書かせる。
 採点は右側の解答欄だけ切り離して採点して返す。
 3週間後にもう一度テスト。今度は左側の欄に書かせる。
 なぜ3週間か。実は3週間が長期記憶に入ったかどうかの目安
 の期間だからだそうです。

 

 また,教科書のコピーを渡し,自分で覚えた単語を消させていくという方法もあります。1回目のコーラスのあと,3分個人音読。覚えた単語を5語消す。2回目のコーラスリーディングのあと,3分個人音読。また5個消させる。3回目のコーラス,個人音読。また5個消させる。

 教科書の英文をプリントに赤ペンで書かせ,赤の暗記シートで隠しながら覚えさせるという手もあります。工夫次第で教科書の単語を覚えさせることができそうです。

 次に,単語帳を使った,受験で有名な学校の昔からのメソッドというものもあります。
 どうしても単語集を使わせる必要があるのなら,CD付きのものがいいそうです。発音記号をよめない生徒が多いからです。単語の学習は音がわからないと「覚えられません」。そして,単語帳とは別にプリントにして,100個単位にしてのせてしまうといいそうです。一度に大量に見渡せる方が効率がいいからです。次に,1度に大量に覚え(すぐ忘れてもよい),それを数回くりかえした方が定着しやすいということが経験上わかっています。単語は出会った「回数」が多いほど長期記憶に変わるそうです。1回の学習はなるべく大量に,短時間に行い,その変わり全体を何度もくり返し覚える機会を作り出す。単語はできれば,他の語句とセット(コロケーション)にした方がいい。思い出すきっかけになります。

 さらに紹介すると,池田和広さんの本「英単語こうすれば速く覚えられる」では,日本語文脈うめこみ型のメソッドを紹介しています。例)ニュートンは,physicsのfoundationを築いた。
まずこのような英語が埋め込まれた日本文をよみ,読み手は語いの推測をします。(Evaluation) わからなければ,単語リストに意味が書いてあるのでそれを見ます。(Search). 確認したら,もう一度,英語埋め込み日本文に戻ります。つぎに,文脈をつかわない,単語をリスト化したものを使い,覚えたかチェックをします。さらにテープをつかい,短時間に大量の単語の意味のチェックをします。テープには単語のみ,1秒間に2回ぐらいのはやいスピードで吹き込まれています。1秒間に1単語なので,1分なら60個の単語のチェックができます。10分で600語のチェックが可能です。一度に大量の練習ができるので,短期間に何度もくり返し,単語に出会えます。しかも,音の確認が簡単にできる。単語の意味がいえなければ,文脈うめこみ学習に戻る。それでも思い出せなければまた単語の意味をチェックする。かなり合理的である。これは通訳者が単語の語彙数をふやすトレーニングに近い。またテープを聴いて単語の意味を考える変わりに,イメージを思い浮かべられればなおよいと思います。難点はこのような本は限られていること。このような日本語文に英語を埋め込んだ教材は他には晴山洋一氏の単語の本があります。

まとめます。
1)単語の学習は1度に大量にして,回数をくり返すと良い。
2)音声がわからない単語は覚えられない。CDを使うこと。
3)文脈学習とリスト学習を交互に行うとよい。
4)7回以上くり返す。
5)3週間たって覚えていれば長期記憶に入った証拠
6)授業ではフラッシュカードなどを使い,高速に意味,発音を  言わせること(1秒以内で言えない単語は死んでいる)
7)おぼえたい単語を生徒に自己選択させるとよい。


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2006年2月 9日 (木)

語い学習について(1)

ELEC 夏の講義  岡田順子先生の 語い指導

○Nationによれば,First 2000 frequency Wordsはできるだけ早く覚えるべきである。このレベルの語いがないと,あらゆる活動に支障をきたす。

○多読では,1000語読んで,覚えるのは15語程度とも言われており3000語覚おえるのには20万語読む必要があると言われています。一方,意識的な単語学習の場合,「7回」異なる文脈で出会わないと覚えないとも言われている。意識した単語学習と,多読などで繰り返し異なる文脈で出会う経験を重ねる,単語学習の組み合わせが必要です。

○Aitchsonという方は,Semantic Mapping (意味のマッピング)を提唱していま 
 す。たとえば,hugeという語を学ばせたい時,紙の中央に,hugeと書き,そこか
 ら四方八方へ,線を延ばし, hugeと関連がある言葉を書いていきます。

 huge----- (elephant)連想語・コロケーション
   -----   (big) 同位語
   -----   (small) 反意語
   ................  例文

  「意味の連結」をさせながら覚えるとよいということです。この場合,huge以外の単語は,すべて定着していることが前提。脳は語いをばらばらに格納しているのではなく,結びつきの強い語句同士を結びつけて覚えている。他の単語の助けをかりることで「忘れにくくなる」。

○Craik and Tuluing は「深い処理」論を提唱。脳が深い処理をする単語は定着しやすいという理論。たとえば,「Vessel」が海をすすんでいるイメージを頭に思い浮かべながら10回書いてみると,日本語の意味を考えながら書くより「時間がかかった」そうです。つまりイメージ化することで脳が「深い処理」をしたというのです。発音しながら書くと脳が深い処理をしない。日本語でなく,イメージを思い浮かべならが書く方が脳が深い処理をし,よく覚える。抽象語は具象語より難しいが,なんらかのイメージを頭に浮かべることで,定着しやすいとのこと。(たとえば,strictなら厳格な父親を思い浮かべるとよいかも。)

○また英語教師はよく単語本を生徒に覚えさせようとします。しかし,Laufer and Hulstijnは,そんなやり方に警鐘を鳴らすかもしれません。彼らは Involvement  Load Hypothesisを提唱。これは「深い処理」に関するさらに詳細な研究で,

 Need / Search / Evaluation  
 の3つが「より深い処理」を促すと考える理論です。

 Need ・・「覚えなさい」と言われた単語より,自ら「知りたい」と思った単語は覚えやすい。

 Search・・知りたいと思った単語を自分で調べること。

 Evaluation・・文脈から最適な訳を選択すること。

 この理論からすると,「ターゲット」等の単語帳を覚えることは,「先生に覚えろと言われた」のでNo Need,(成績にかかわるなら moderate needか)  意味の推測もしていないのでNo Evaluation,  辞書も引かないので,No search ということになります。この理論からすれば最悪な覚え方ということになります。覚えたつもりでも忘却率が高いということでしょう。

 ここまでのことをまとめますと

  1.  生徒には文脈から意味を推測させよ。(深い処理Evaluation)
  2.  辞書等で「確かめる機会」を持たせよ。(深い処理Search)
  3.  いくつかの関連情報(反意語,同意語,コロケーション,例文)を一緒に 覚えさせよ。(Semantic Mapping)
  4.    イメージを思い浮かべさせて単語を書かせよ。


    ということになります。ベネッセ(進研模試)の分析会などで話を聞いても,最近は単語帳を使わせている学校の話はあまり聞きません。「教科書や副教材の単語を覚えさせよう」という流れが強まっているそうです。これなら定期考査にも出ます。Needがなければ生徒は覚えようとはしないわけです。

    達人セミナー山形県立長井高等学校の布川裕行先生の発
   表をみる機会がありましたが,同校では,JACET8000
   ベースにし,それを最も高い確率でカバーしている教科書
   を選び出しました。これは新出語句数でももっとも数の多
   い教科書でもありました。その教科書の単語を週3回の
   Readingの頭十分ほどでトレーニングしているそうです。布
   川先生の実践は,達人セミナーでDVDになっていました
   ので,そちらをどうぞ。

   



 

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2006年2月 5日 (日)

音読の効用について(2)

 通訳の世界では「自分の音読スピードより速い英語は理解できない」ことが常識になっていま す。1分間に100語で読まれる英語は,自分が100語以上のスピードで音読でき,理解できれば,理解できます。英語の処理には,どれだけ速く音読できる かという視点も忘れてはならないと思います。これに関しては,TOEICの指導で有名な鹿野春夫先生の「速音読で処理速度をあげる」や,最近では速聴(同じテキストを1. X倍〜4倍速に速くして聴かせる)でもスピードアップによる処理速度力向上が述べられています。速音読や,速聴についてはまた機会をあらためて。

  音読指導のポイントは6つあると思われます

 1)意味、構文を十分に理解させた上で英文の音読をさせる
 2)一文単位でなく、語句のかたまり=チャンクごとに音読させる
 3)母音を1拍のリズムで発音させる。 
 4)リエゾンなどは特に取り出し練習させる    
 5)大量音読を実現するために英文理解の時間を圧縮する
 6)音読のはてにまっているもの=何ができるようになるかをはっきり示す

 従来「音読」は文字をきちんと読めるかどうかだけが活動の目標でした。しかし現在英語教育界では音読効果を何倍にもする方法が注目を浴びています。それは音読をスピーキング活動のスタート活動と位置づけることです。土屋澄夫先生の「英語コミュニケーションの基礎を作る音読指導」には,筑波大付属駒場高校の久保野先生の「キーワードリプロダクション」の例がふんだんに出てきており,大変私も刺激を受けました。その中では音読活動はなんのために行うのか,その目標が明確に示されています。

○(従来の音読)   新教材の導入→テキスト内容理解→音読
○(これからの音読) 新教材の導入→テキスト内容理解→音読→スピーキング活動
  

 キーワードや,絵をみながらのレシテーションの可能性と効能

  一昨年12月、私が勤務するY高校にオーストラリアから生徒が来たときに本校生徒にやらせた活動を紹介します。1クラス40名をまず、8班に分け、各班に外国人生徒を 1名配置しました。1班には5人日本人の生徒がいますので、各生徒に「野口英世」「鶴ヶ城」「和製英語」「桃太郎」「漢字のへんについて」に関する英文を覚えさせた上で、キー ワードだけ見ながら、英文をレシテーション(再生)し、オーストラリアの生徒に教えるよう指示しました。そのあと彼らがどのくらい理解したか確かめるた め、視聴覚室で日本文化大クイズ大会で大いに盛り上がりました。

 さて、この活動で生徒にさせたレシテーションですが、従来とは定義が少々違います。ここで いうレシテーションの定義とは「テキスト上の表現をもとに自分なりの表現でテキストの内容を再構築できること」 です。最新の心理言語学の研究によると、 我々が言葉を話すときは,

(1)言おうとする内容に意識を集中させ,
(2)その内容を表現するのに必要な語彙を脳の記憶倉庫から引っ張りだし、(3)チャ ンクを中心にしてセンテンスを組み立てるプロセスをとるそうです。

 つまり、正しく音読できるようになったテキストは「一字一句同じ文で再生させるより、い くつかのキーワードや,絵をヒントとして生徒に与え,それを英文再生の「鍵」に使い,チャンクごとにテキストの内容を英文で言わせる」ほうが、より脳の働きにあったものになりま す.意味の創出こそないので「コミュニカティブな活動」とは言えません。しかしこれはアウトプットのためには必須の活動と呼べるものです。今回の場合は,後に,外国人生徒に対し,日本人生徒の説明がどれぐらいよくわかった試すクイズを行いましたので,日本人生徒が,英文をIntakeする動機作りには成功したと思います。そしてこのことは,コミュニケーションの基礎を形成する活動です。なぜならば,「自分の中にある英文ででしか生徒は自己を表現できないからです。」チャンクごとに英文を覚えさせ,いつでも自由に取り出せる状態にすることこそ,コミュニケーションの際に力を発揮できる力であると思います。

 レシテーションは内容に意識が行くぶん、音声や構文には意識が行きません。したがって、レシテーションの前には、音声と構文の自動化、内在化 という段階まで持って行く必要があります。つまり音読のさせ方が重要なポイントになります。次にこの点について述べます。


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音読の効果について(1)

—英語のIntakeの量を増やし、アウトプットにつなげるにはー

   日本のEFL環境を考えれば,意識してIntakeのチャンスを授業中増やさないといけません。日本人が、[My name is…. Nice to meet you.]という状態から前に進めないのは、体に英語が取り込まれていないからです。効果的に英語をIntakeするにはどうしたらよいか、それをアウトプットにつなげられないかを[音読]の視点から述べてみたいと思います。

[音読 — 受験に効く音読]

 音読は受験に有効に働くことがわかってきました.STEP英語情報 2004年11・12月号で、京都教育大学の鈴木寿一教授が音読に関する実験データ(下参照)をのせています.6〜7回音読した大量音読グループと、2回程度音読したグループで明らかに大量音読グループの模試の成績は高いです。

        6月客観   11月客観
大量音読グループ    60.4       63.1
形式音読グループ    56.4       55.6

*京都にある進学校の模試データ

[音読 — なぜ音読が効くのか 理論的背景] 

 なぜ大量音読グループは成績が向上したのでしょうか。推測ですが、ひとつには音読によりボトムアップの処理速度があがった可能性が考えられます。人間の脳は言語を音声で処理します。文字を見たときにぱっと音声化できるかできないかで大きく読解の処理スピードが変わると思われます。2005年のELECの夏の研修で教わったのですが,日大附属高校の吉田章人先生によれば次のようなことがわかっているそうです。

 吉田先生のハンドアウトより

 dolphinという単語を見たとき,または聴いたとき,「イルカ」という聴覚像しかなかったら,「イルカ」という概念は思い浮かばない。「ダルフィン」という聴覚像(アコースティックイメージ)が自分の中にあってはじめて,概念と結びつく。

 Palmerによれば,聴覚像と,イメージ(概念)を強く結びつけることが重要であるとのことである。そうしておいて,次に文字(記述像)と音声(聴覚像)を結びつけると,読解速度アップに寄与すると述べている。

 おおよそ次のような流れで語は認識ではされているのではないかと言われます。

ダルフィン(音声化)→長期記憶内の聴覚像のデータベースに「ダルフィン」という音があるかどうか照合→長期記憶から「イルカ」というイメージを呼び出す。

 よって,音読により,「聴覚像と文字の関係を反応がすぐ起こるように強化」しょうとしているわけです。また音読により,今まで自分にはなかった聴覚像そのものも作り出しています。例 first time  は「ファースタイム」at that timeは「アッザッタイム」など。

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2006年2月 3日 (金)

リスニングゲーム アタック25

 高校でも使えるリスニングゲームをご紹介します。題して「アタック25」。これは日曜のお昼にやっているあのTV番組のタイトルからとったものだそうです。私はこの活動を県の10年研修の時に習いました。

 このゲームのツボは,リスニングが手段で,ゲームに勝つことが目的であること。ゲームに勝ちたければ,常識を総動員してリスニングに集中し,質問に答えねばなりません。しかもチーム対抗戦。「勝ちたい」「仲間に迷惑はかけられない」という思いから,夢中になって取り組みます。まさしく,向山洋一先生の,「Aをさせたければ,Bをさせよ」という黄金律を守っています。

 ルールは,

  1. 班対抗戦とする。1クラスを6班程度に分ける。
  2. 黒板にたて5ます,よこ5ます,全部で25ますを書く。
  3. 班ごとにマークを決める。例 ○,▽,□,☆など
  4. 生徒は全員参加。時計回り。代表1名はその場に立つ。
  5. 教師が問題を出す。
  6. 例)Who is the president of the U.S.?
  7. わかったものは手を挙げる。
  8. 早い者勝ちで指名。
  9. 正解なら,そのチームのマークをますにいれていく。
  10. 他の班のマークを自分たちの班のマークではさんだら自分たちのマークに変えることができる。オセロの要領。いかに自分たちの班のマークを増やしていくかが生徒を燃えさせる要因の一つとなる。
  11. 第一問正解者には,中央のますを選ばせる。
  12. いきなり「かど」をとることはできない。
  13. 必ず埋められているマスのひとつ隣のみマークをおける。
  14. 正解した生徒は2回まで解答できる。
  15. 不正解の生徒はその場に座り,次の生徒が起立する。
  

 問題はなんでもいいです。What is the capital city of Britain?などの常識的問題から,時事ネタ,教科書の単語や,熟語,構文からの出題,本文の内容に関するQなどなんでも可。

 これはほんとに生徒が夢中になります。ぜひお試しを。

 

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2006年2月 2日 (木)

通訳技能を使った授業のDVDを見て

Welcome to English Room
http://www.h6.dion.ne.jp/~nogami/

 昨年の2月のことで恐縮ですが,野上先生の,
通訳技能を活用した授業のDVDを見ました。これは野上先生のサイトで,実費を払いわけてもらったものです。以下にその感想を述べます。これは野上先生に送った私の感想であり,野上先生のサイトにも載っています。



Mさん
(福島県)       

 DVDを拝見しました。タスクの連動がすごかったですね。大いに参考にさせていただきたいと思います。詳しい感想は以下のとおりです。

  1.  できること、努力したことに対してクラス全員で評価する教室文化を作り上げているる。
  2. 教師が時間の管理をしているので,生徒もしっかり集中している。
  3.  リピーティング、シャドーイング、ウィスパリング同時通訳、絵を見ながらの要約など、8つの活動が盛り込まれていました。同時通訳の技法という Skill-getting活動が見事に配置されている授業であると思いました。その一方で、Skill-getting活動をどうやって確保されている か私自身学びたいと思いました。GetしたSkillを使い、クリエイティブな自己発信活動まで高めるというのは英語教師の夢ですが、先生の授業ではそこ までできているのではないか、見てみたいと思いがいたしました。
  4.  英英辞典を使ってのWord Definition は生徒全員が電子辞書を持っているからできるのでしょうね。羨ましく思います。生徒自身に英語の定義を言わせて、他の生徒に当てさせるアイデアは良いですね。
  5. カナダではJigsaw Readingなど4技能を統合するグループワークなどが主流でした。アウトプットがあるからインプットを懸命にやる、という流れは非常に自然だと思いました


       このDVDを見たとき,はっきり言って,やられた!と思いました。私自身,同時通訳式のトレーニングは授業に取り入れていましたが,このDVDにはそれを超える実践がありました。

      とくに刺激を受けたのは,ウィスパリング通訳。一人が英文を読み,それをすかさずもう一人の生徒が英訳していきます。私もこの活動を取り入れてます。やり方は,

 
1)教科書の英文を,頭の中でスラッシュを引かせ区切りごと和訳させる。
 2)その和訳をパートナーが聞き,区切りごと英語に直して言っていく。
 3)この作業を時間内に,しかも役割を変えてやらせる。


 授業の冒頭に
「この活動を最後にしてもらうよ」と言っておくことと,最初に,生徒をパートナーに見立てて,デモンストレーションすることがポイント。生徒はやるべきことがはっきりわかっていて,しかも自分もがんばればやれそうだとなると(もちろんやれるように活動を仕組みますが)一生懸命英語を暗唱していきます。

  
ウィスパリング通訳に関しては 神田外語大でも教えている通訳者の 柴田バネッサさんのサイトや著書が詳しく述べていると思います。

 http://www.geocities.jp/vanessa_482/

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可算,不可算はイメージできまる

 2005年11・12月号のSTEP 英語情報の中で代々木ゼミナールの小倉氏が述べているイメージできるできないで,可算名詞か不可算名詞か判断する方法には賛成です。

 私は,可算名詞は,「唯一絶対のイメージ」をもてるものと指導しています。イメージ像がゆれるものは不可算名詞と教えてきました。たとえば,リンゴ。これはほぼ「赤く丸い形をしたくだもの」がイメージできます。可算名詞です。

 しかし,ワインや砂糖はどうでしょう?唯一絶対のイメージはうかぶでしょうか。うかびません。ボトルやグラス,スプーンの形はイメージ化されますが。

 紙はどうでしょうか? 1枚の紙のこともあれば,紙切れの場合もイメージされ,唯一絶対のイメージが浮かぶわけではありません。したがって数える場合は a sheet of..  a piece of... の助けを借りることになります。

 もっとわかりやすい例はパンです。目をつむってパンをイメージしてみてください。食パンかもしれないし,メロンパンかもしれませんよね。トーストみたいに薄切りされたイメージをもつ人もいるでしょう。パンも唯一絶対のイメージが与えられているわけではありません。a loaf of...   a slice of... などの助けをかりて数えることとなります。

 furnitureはどうでしょう?これは「家具類」であって唯一絶対のイメージが浮かぶ単語ではありません。ソファなのか,カーテンなのか唯一絶対のイメージがわきません。よって数えられません。

 ガラスも同様。一枚板のガラス。割れたかけらのガラス。形がかんたんに変わります。

 このように,目を閉じて,「机」「本」など一定のイメージが浮かぶものに関しては,可算名詞となり「目に見えぬもの」や「目に見えても,ガラスや,パン,紙,砂糖など,形が簡単にかわりやすいもの」は不可算となるようです。もっとも,a piece of...などの助けを借りて数えられるようになるものもあります。

 この件に関しては

 大西泰斗先生の「ネイティブスピーカーの英文法」にも詳しくでていますし,(というか,ここから学んだというほうが正解です)山岡大基先生のウェブにも非常によくまとめられているものが載っていますので,紹介させてください。

  http://hb8.seikyou.ne.jp/home/amtrs/articles.html 

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