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2006年1月27日 (金)

やる と やらされる

英語で Educationというのは「引き出す」という意味です。本人のいいところをのばす,楽しく授業するというのは絶対必要です。しかし,教育には「鋳型にはめる」という意味もあるとのこと。この両方必要でしょう。
最近いい本に出会ったので紹介しますね。

    「気づかせて動かす」  PHP  山口良治×平尾誠二より

*山口先生はスクールウオーズのモデル。ラグビー指導のカリスマ。平尾氏は山口先生の教え子で,元ラグビー全日本代表。

(山口)
とくにスポーツにおいては,最初は「これをやれ」とか「これをしろ」みたいに始まるのがほとんどだと思うんです。でも,大学生や社会人になって,自分の中で目標が明確になっていくうちに自分でも考える力が身に付いてきて,どうすればそこに近づけるかわかりはじめると,自由度は高い方がよくなる。ただ高校までは基礎的な指導がないと,次に飛躍できないのは間違いないんです。

つまり,主体性とは,それを使いこなせる,使う能力がある側,すなわち目標が自分の中に明確になっていて,どうしたらそこへ到達できるかという方法もわかっていて,かつ管理されなくても自分を追い込んでいけるという人間にとっては,自分でメニューを組んで取り組む方がいい。でも中学あたりでは部活を始めたときには,経験がないわけだからやり方を学ばねばならない。

ある程度慣れてくると,やっている意味だとか,「そこまでやらないと日本一になれないんだ」という気づきが出てきますからね。人間は。そこで指導者からの指示が自分の指示に変わる。たとえば腕たてふせを100回やらされても「これをやって一番得するのはおれなんだ」と理解できるようになるんです。

なにをしていいかわからない子供には目標を与えてやらせる。目的がはっきりしていれば,「これさえやればこうなるんだ」という意識につながっていくんだ。

そういう意味でも,イメージを与えてやることが大切なんだ。「おまえこうなったらいいな」とか「がんばったら絶対日本一になれるぞ」というように夢や目標を語ってやる。そういうイメージをぼやっとその子の中にわかせてあげるわけ。....そうなれば自分からどんどんそのイメージに近づこうとするんだよ。そのためには何が必要か自分で考えるようになるんだよ。「やらされているのか」それとも「自分でやっているのか」子供にどう思わせるかというのは非常に大事なんだ。教育に限らず,どんなことでもそうだけど,やっぱり「こういう人になってほしい」とか,「こういうチームをつくりたい」というイメージやビジョンが抱けない人は指導者やリーダーにはなれないと思うね。

それともう一つ重要なことは各段階で,「よし,いいぞ」ってきちんとほめてやること。評価してやることだ。そういう達成感の喜びがなかったら絶対ダメなんだ。

(平尾氏)

イメージがないと,努力なんかできないじゃないですか。努力しないとうまくならないでしょう。全国大会で優勝し先生を胴上げしている風景なんかを自分の中で明確にもてるかもてないかで,がんばり具合が変わってくる。
逆に目標のないところでがんばらせるには強制しかないわけですよ。
......
そうやって自分の目標が明確になればたとえやらされていることでも自分では強制だとは思わない。強制だと思っているうちはまったくダメなんですよ。人からの指令を自分からの指令に置き換えないといけないんです。
......
指導者にとって大事なのは,目標設定を誤らないことだと思います。やっぱり自分たちが届きそうな距離感の目標でないとダメなんですよ。「がんばったら届く」という実感がないと,人間はやっぱり努力できませんから。


この本を見て思ったこと

指導者がどういうイメージをもてるか?そして, そこにたどり着くまでにどういう目標を設定できるか? 「これができるとこうなるぞ。こうなったらいいな」という思いをどれくらい生徒に植え付けられるか?  それがあって, 「どうすればそこに行き着けるのか」がわかれば, 最初は強制だとしても,生徒は自分で意味に気づき,トレーニングを開始する。コーチという意味は「目的地まで運ぶ」という意味だそうです。 しっかり目標を自分で定められる生徒を作ったら, それこそ教育したと言えるかもしれません。

すごくいい本です。おすすめします。

(追加)
「来週まで教科書を○○ページまで進もう」  これ以外の目標設定を自分の中に恒常的にもてるかどうかが教育の成否を決めるような気がします。たまーにTeaching Planを書くときしか目標を意識しないのでは生徒の中に変化をひきこすことは難しいでしょう。長期的な目標,学期の目標,ワンレッスン7時間の目標,その時間の目標設定をイメージする力が教師に求められていると思います。代ゼミで, 教員向けに「目標設定のためのセミナー」があるそうです。ぜひ参加してみたいですね。

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