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2006年1月29日 (日)

アクティブリスニングを活用する!

 昨年アルク社の通訳セミナーにでました。そこで習った技術が,ひと呼んで「アクティブリスニング」。 

 「アクティブリスニング」とは,ただ単に聞くより,「他者に伝えるつもりで」メモしながら聞いた方が,格段にこまかな点まで聞き取れるという趣旨でした。

 これは,やってみると全くその通りでした。セミナーでは少し早口の日本語の文を聞き取り,要点をメモし,それをペアを組んだ相手に自分の言葉にして伝えることからはじまりました。これは日本語の聞き取りにも効果があります。ただ漫然と聞いていたモノが,「人に伝える」という目的を与えられたとたんに全く別物として聞こえてくるのです。セミナーはその後,英語の聞き取りに進んでいきました。英語も同様で,内容にかなり集中して聴いています。

 同じ経験をカナダのESLでしたことがあります。教員向けの英語指導法のセミナーがでしたが,地元の教育委員長の話をきき,その中でこころ残った話を3つ決めて,グループごと発表するように言われました。

 これは,[Debriefing -ディブリーフィング」という技法です。Debriefingとは,もともと下士官が上官に戦場の現状を「手短に」説明したことに由来するそうです。これは教育目的にも取り入れられ,とくにESLでも使われるようになったそうです。

 Debriefingのポイントは,

  1. 生徒が聴く活動をする前に,「他の人に聞き取ったことをレポートする活動があとに控えている」と伝えておくこと。
  2. キーワードをメモにとらせること。
  3. 自分が大事だとおもったことを3つ選ばせ,3人か4人グループでまずお互い同士に発表させること。
  4. 代表者がそれを教師にむけて発表すること。
  5. できれば,最初に話をした(講演者)人と,報告を受ける教師は別人のほうが,より,「レポーティング活動」としては真剣みが出てきます。
  

 ディブリーフィングの効果は何でしょうか? まず1つめにはアクティブリスニングを促している点があげられます。他者へレポートするつもりで聴くということです。

 2つめには,重要だと思われる「キーワード」を自己選択し,メモに残すことです。そしてこれは,枝葉を落とし,主要な点を3つに絞り込む際には絶対必要なことになります。大事な点を自分で選べるという点は,「自己選択」であり,生徒をやる気にさせる重要な点でもあります。

 3つめには,そのキーワードを「記憶を呼び覚ます鍵」として,内容をリプロダクションする点です。

 4つめには実際にそれを教師に報告させる点です。これをしなければ完成しません。

 そして最後には,他者の意見を聞き,自分が気づかなかったものの考えかたがあるのだという「気づき」があることです。

 さて,では高校ではどこまでこれが英語教育に使えるでしょうか。

 これは,実は,教科書のテキストが,事実を伝える「伝記」ものや,「物語」である場合に使うのに最適です。教師がテキストの内容を簡単な英語で言い換えて英語で話し,生徒はそれをメモに取っていきます。

 

ここで新しい考え方,[Mappingーマッピング]を使わせます。マッピングについては後ほど。マッピングしたキーワードを使い,今度は生徒同士に「今先生が話したことをパートナーに英語で伝えてごらん。マッピングしたメモはみていいよ。話し終わったら今度はもう一人がメモをみながら話すんだよ。」と指示します。もし英文が長ければ,区切りのいいところまで聴かせて,マッピングさせます。

 この,[アクティブリスニング]ー[マッピング]ー[リプロダクション]は授業のいつやればいいのでしょう。一つには,教師が,授業冒頭でSmall Talk したときがチャンス。または,授業冒頭に生徒に1分間スピーチをさせ,その内容を使ってもいいでしょう。テキストの内容でやるなら,レッスンの最初の時間を使い,「概要をとらせる」目的で行うか,ある一定以上の表現や,語いをとりこみ終わった,レッスンの最後で行い,「定着をうながす」目的で使うこともできます。そして何度か授業中にこれをやると,班対抗のゲームにできます! [ジグソーリーディング・リスニング]という名前の。これもブログで後ほど。

 東京の太田洋先生は,授業の最後に,この活動をときどきいれるそうです。教師とALTが話をし,生徒にマッピングさせる。ペアを作らせ,マッピングしたものを元に,ペア同士で英語を再生して言うように指示する。生徒はそれをもとにして話そうとするのですが,教科書で使っている表現を最初はうまく使えず,なかなか話せないとのこと。そこで教科書を1分間だけ見せるそうです。太田先生によれば,生徒はむさぼるように教科書を読むとのこと。1分経ったら教科書を閉じさせ,もう一度話をするように言います。今度はかなり大きな声がでるようになったとのことです。

 太田先生は上手に,「表現」の最終とりこみのために,利用していました。生徒が英文をうまく言えないのを逆手にとり,「情報の飢餓状態」を創り出していたわけです。そして,生徒は「必要だ」と思ったことを一生懸命とりこもうとするというわけです。[Intake]を起こすためのしかけをしているというわけです。

 アクティブリスニングを行うには,実際はいくつかハードルがあります。まず前ふり活動として,

  1.  情報の「順送り処理」=前から意味を取るになれている必要があります。スラッシュリーディングやスラッシュリスニングなど普段からやらせている必要があります。
  2.  リスニングに抵抗感がある生徒を減らすため,リスニングゲームで抵抗感を減らしておく必要があります。これは[アタック25] [What is it? ] という,とっておきのリスニングゲームがあるのでそれをのちほど紹介します。
  3.  クラスルームイングリッシュを普段使っている必要があります。普段から英語を使う,聴くという雰囲気をまず教師が創り出すことです。
  4.  キーワードを使ってテキストの内容をリプロダクションさせる体験をさせる必要があります。これには音読活動が有効です。筑波大付属高の久保野先生の実践が役に立ちます。これも後ほどブログで。
 

 

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2006年1月27日 (金)

プリント3枚で効果抜群

 英語教育2005年10月増刊号に載っていたワークシート活用法です。埼玉県立朝霞高校の岡田順子先生のアイディアです。岡田先生は,ELECの夏のワークショップでも講師をしていました。このアイディアを試したところ,生徒は夢中になってやっておりました。基本的に自分でうまくいった方法論を紹介します。

効果 ☆☆☆☆☆  書く,話す力の養成に抜群の効果

  1. 教科書ワンセクションの文を,下のようにフレーズごとに区切り線の下に日本語をつける。

             
    私は楽しんだ   実験することを  スペースシャトルの中で。
  2. 同じプリントを一人3枚配布する。


  3. 教科書を開かせ,Ready, go!の声とともにフレーズごとに日本語の上に英文を書き写させていく。できるだけ速く書かせる。タイムリミットを4分程度に設定し,4分後[Time's up.」という。終わっていなくても良い。逆に全部書き終わるぐらいの時間を与えると,生徒は簡単すぎる課題のように思い,真剣にやらなくなる。
  4. ペアを組ませる。一人が2枚目の日本語しか書いていないワークシートを見て,パートナーに書いた英語をできるだけ思い出しながら言ってみる。パートナーはつっかえたと思えばヒントを出す。まあ,最初はあまり言えないで終わる。ここで,もう一度練習の機会を与えると,今度は生徒はむさぼるように読み,書く。つまり,わざと情報の飢餓状態を創り出すわけだ。
  5. ペアの役割を変えて同じことを行う。
  6. 再度教科書を開かせ,タイムリミット以内で書き写させる。今度はかなり書ける分量が多くなる。生徒にどこまで書けたか聞く。書ける量がふえた生徒はほめる。もっといけるよと励ます。
  7. またペアになり,3枚目の,日本語のみ書かれているプリントで,4,5でやったことをくり返す。今度は長くはなせるようにてなっている。やはりどこまで言えたか手を挙げさせる。伸びを実感させることが大切
  8. さらに3回目の書写。かなりかけるようになる。タイムリミット内で書けるか生徒をあおってみる。今度は周りの4人ぐらいで競争させても良い。
  9. またペアになり何もみないでペアにむかって話してみる。何もみないで話すのが無理な場合には,4枚目のプリントとして,重要なキーワードのみ残して他の部分が消されているプリントを見させて,英文をReproductionさせる。キーワードをみながらのほうがとうぜん敷居は低い。

  岡田先生によれば手,口,目とすべて使うので定着しやすいとのこと。生徒の評判もよいそうです。私も授業でやってみてびっくりするぐらい集中してました。今の生徒は口頭練習はたっぷりやっても,書くことをあまりしません。またトレーニングも受けてきてません。しかし生徒も「効果が実感できる」から夢中になるのです。やったあとで「伸び」が実感できないトレーニングは生徒のモチベーションはあがらないのです。

  また,パターンプラクティスの後に,文法の時間にもこれをやるとすごく定着すると思います。L1からのキーセンテンスだけ抜き出してやらせてもいいと思います。これは楽しく,知らぬ間に暗唱,暗写してしまえる,秘密兵器です。なぜなら,情報の飢餓状態をつくりだしていること,ペアワークなのでさぼれないことまた友人が「できる」のを見て,自分にも刺激になっていることなどがあげられます。最後に,「暗唱できる人!」と言って,クラスの前で暗唱させると,皆「オオ!」という声が聞かれます!!

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やる と やらされる

英語で Educationというのは「引き出す」という意味です。本人のいいところをのばす,楽しく授業するというのは絶対必要です。しかし,教育には「鋳型にはめる」という意味もあるとのこと。この両方必要でしょう。
最近いい本に出会ったので紹介しますね。

    「気づかせて動かす」  PHP  山口良治×平尾誠二より

*山口先生はスクールウオーズのモデル。ラグビー指導のカリスマ。平尾氏は山口先生の教え子で,元ラグビー全日本代表。

(山口)
とくにスポーツにおいては,最初は「これをやれ」とか「これをしろ」みたいに始まるのがほとんどだと思うんです。でも,大学生や社会人になって,自分の中で目標が明確になっていくうちに自分でも考える力が身に付いてきて,どうすればそこに近づけるかわかりはじめると,自由度は高い方がよくなる。ただ高校までは基礎的な指導がないと,次に飛躍できないのは間違いないんです。

つまり,主体性とは,それを使いこなせる,使う能力がある側,すなわち目標が自分の中に明確になっていて,どうしたらそこへ到達できるかという方法もわかっていて,かつ管理されなくても自分を追い込んでいけるという人間にとっては,自分でメニューを組んで取り組む方がいい。でも中学あたりでは部活を始めたときには,経験がないわけだからやり方を学ばねばならない。

ある程度慣れてくると,やっている意味だとか,「そこまでやらないと日本一になれないんだ」という気づきが出てきますからね。人間は。そこで指導者からの指示が自分の指示に変わる。たとえば腕たてふせを100回やらされても「これをやって一番得するのはおれなんだ」と理解できるようになるんです。

なにをしていいかわからない子供には目標を与えてやらせる。目的がはっきりしていれば,「これさえやればこうなるんだ」という意識につながっていくんだ。

そういう意味でも,イメージを与えてやることが大切なんだ。「おまえこうなったらいいな」とか「がんばったら絶対日本一になれるぞ」というように夢や目標を語ってやる。そういうイメージをぼやっとその子の中にわかせてあげるわけ。....そうなれば自分からどんどんそのイメージに近づこうとするんだよ。そのためには何が必要か自分で考えるようになるんだよ。「やらされているのか」それとも「自分でやっているのか」子供にどう思わせるかというのは非常に大事なんだ。教育に限らず,どんなことでもそうだけど,やっぱり「こういう人になってほしい」とか,「こういうチームをつくりたい」というイメージやビジョンが抱けない人は指導者やリーダーにはなれないと思うね。

それともう一つ重要なことは各段階で,「よし,いいぞ」ってきちんとほめてやること。評価してやることだ。そういう達成感の喜びがなかったら絶対ダメなんだ。

(平尾氏)

イメージがないと,努力なんかできないじゃないですか。努力しないとうまくならないでしょう。全国大会で優勝し先生を胴上げしている風景なんかを自分の中で明確にもてるかもてないかで,がんばり具合が変わってくる。
逆に目標のないところでがんばらせるには強制しかないわけですよ。
......
そうやって自分の目標が明確になればたとえやらされていることでも自分では強制だとは思わない。強制だと思っているうちはまったくダメなんですよ。人からの指令を自分からの指令に置き換えないといけないんです。
......
指導者にとって大事なのは,目標設定を誤らないことだと思います。やっぱり自分たちが届きそうな距離感の目標でないとダメなんですよ。「がんばったら届く」という実感がないと,人間はやっぱり努力できませんから。


この本を見て思ったこと

指導者がどういうイメージをもてるか?そして, そこにたどり着くまでにどういう目標を設定できるか? 「これができるとこうなるぞ。こうなったらいいな」という思いをどれくらい生徒に植え付けられるか?  それがあって, 「どうすればそこに行き着けるのか」がわかれば, 最初は強制だとしても,生徒は自分で意味に気づき,トレーニングを開始する。コーチという意味は「目的地まで運ぶ」という意味だそうです。 しっかり目標を自分で定められる生徒を作ったら, それこそ教育したと言えるかもしれません。

すごくいい本です。おすすめします。

(追加)
「来週まで教科書を○○ページまで進もう」  これ以外の目標設定を自分の中に恒常的にもてるかどうかが教育の成否を決めるような気がします。たまーにTeaching Planを書くときしか目標を意識しないのでは生徒の中に変化をひきこすことは難しいでしょう。長期的な目標,学期の目標,ワンレッスン7時間の目標,その時間の目標設定をイメージする力が教師に求められていると思います。代ゼミで, 教員向けに「目標設定のためのセミナー」があるそうです。ぜひ参加してみたいですね。

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2006年1月26日 (木)

do, does, did の教え方

ブログデビューです。これからじょじょに書き込んでいきます。初回は文法の教え方です。

これは僕がYahooの掲示板に書き込んだものです。
今まで書いてきたものも手直ししながらブログに加えていきたいと思います。


「助動詞のdo, does ,did」

生徒にはとにかく、be動詞以外の動詞の「ウラ」には必ずdo, does, didの3つのうちの
どれかが「隠れている」と教えます。

1) goes = 「go のうらに、doesが隠れいていて、最後のesだけが見えている」

2) go = goのうらにdoが隠れている。

3) went = go+didが化学変化を起こしている。              こう教えます。
  
  そして一般動詞はとにかく、
  does + go        
  do + go          
  did + go            

 と, いったん分解させるくせをつけさせます。

She went to school.
She (did go ) to school.
Did she go to school?
She didn't go to school.


BeV疑問文も、do,does,didを使った疑問文もなぜこういう形になったのでしょうか。
それはひとえに肯定文とは違いますよ。疑問文=特殊な形ですよ。と相手に知らせる
ためのサインです。

 beVを前に出すことで、いつもの語順と違いますよ。疑問文ですよ。と知らせるわけです。
do.does didを文の前にぽーんと出すことで、疑問文ですよーと相手に知らせるわけです。

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