英語を俯瞰してみる。
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語源(主にラテン語系の接頭語など)を学ぶ必要性
英語の歴史
<フン族に追われゲルマン族、西へ移動>
中央アジアにいた遊牧騎馬民族が食糧がなくなったか、病気かは分かりませんが、なんらかの理由で、西に向かって移動を始めました。フン族です。フン族の戦闘力は大変高く、今の東ヨーロッパの黒海あたりにいたゲルマン族は敵わなかったと思われます。彼らは、追われるように西に、さらに西へと移動を始めました。諸説ありますが4世紀後半ぐらいの話です。
<英語の原形が出来上がる=古英語>
ゲルマン系の部族(アングル族、サクソン族、ジュート族)が5世紀ぐらいに今のイギリスに渡りました。これ以降にできた英語は今の英語の祖先で、「古英語」と呼ばれています。比較的短くシンプルな日常的な言葉が多いです。be, strong, water, house, windなど。英検5級、4級、3級によく出てくる日常語ですね。<ラテン語に影響を受けたフランスの言葉が大量にイギリスに入る>
1066年(日本では平安時代)、ノルマンディ公ウィリアムがイングランドを征服しました。支配階級となったノルマン人が用いたフランス語(ノルマン系フランス語)の語彙が大量にイングランドに入ってきました。さて、フランスの地域は昔、ローマ帝国に支配されたいたことがありました。(ガリアと呼ばれていました)ローマ帝国で話されていた言葉は「ラテン語」。したがってフランスの言葉はラテン語の影響を強く受けたものでした。ラテン語の影響を強く受けた語彙が大量に支配者と共にイギリスへ入ってきたのです。
ノルマン人がイングランドを征服したのを機に、フランス語を話す支配階級がイギリスに大量の「言葉」を持ち込みました。それはラテン語の影響を受けたものだったわけです。政治、経済、法律、など比較的社会にとって重要な「ハイレベル」な語彙が多くありました。結果としてイングランドには、①「古英語」由来の「短めな日常語」と、②「ラテン語」に起源を持つ多くの「長い単語」が混在することになりました。
<語源で学ぶと良い単語も>
ラテン語起源の単語は、合体ロボのように言葉と言葉が合体してできていることが多いです。例えば、disasterディザスターなどは、dis(悪い) + aster (星)=悪い星の影響がある=災害。また、decreaseは、de(下に)+crease(増える)だと「減少する」となります。このように合体してできる単語が多く、ラテン語(ギリシャ語)起源の言葉は意味が難しく、長くなりがちです。
英検準2級、2級以上の、難しめな単語は、こういったラテン語(ギリシャ語)の影響を受けたタイプの単語が多いです。だから覚えるのが大変というわけです。覚えるためには「ラテン語由来の接頭語」や「語根」などに分解しながら覚えるのも一つの重要な方法です。中学生でも語源で覚えることが有効になります。
接頭語(pre-, re-, de-, dis- など)や、語根(-spect-, -port-など)を知ることで、まとめて覚えやすくなるのは確かです。
pre 前 re. 後ろ de. 下 dis. 悪い、離れる
spect 見る port 港
<15世紀、16世紀を中心にあった発音とスペルの大変化>
five、root、seek は元は、フィーヴェ、ロート、セークとローマ字に近い発音していました。ところがじょじょに発音が変わったのです。ファイヴ、ルート、スイークと。(概して舌の位置が低い位置から高い位置に変わりました)発音に合わせてfaivなどとは綴りは変わらなかったため、今の小中高校生が発音とスペリングで戸惑う原因がおおよそこの時作られました。この出来事を「大母音推移」と言います。time ティーム タイム (イーがアイへ)
house フース ハウス (ウーがアウへ)
meet メート ミート (エーがイーへ)
boot. ボート ブート (オーがウーへ)
name. ナーメ ネイム (アーがエイへ)<今の中学生が英語でかなり苦労しているのは、英検準2級以上の単語=ラテン語に影響を受けた単語を大量に覚えることになるから。また大母音推移によって発音とかけ離れたスペルを覚えることになるからです>
現在の日本の中学の英語の教科書は準2級、2級レベルの単語、つまりフランス語・ラテン語由来の単語がグッと増えました。特に中学2年生以降の教科書の中でグッと増えてくるのです。よって中学2年生ぐらいまでに英検準2級ぐらいの語彙を持っていないとなかなか教科書にもついていくのが難しくなります。語源を利用して覚えるのは中学生から有効になっています。また発音とスペリングがかけ離れているのは大母音推移の影響が大きいです。これを克服するには、フォニックスが一番です。フォニックスを学ぶと全てではないにせよ、かなりの単語(7割程度)発音とスペリングの関係がわかります。フォニックスは時短ツールなのです。
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